アリババから出資、AI教師活用のオンライン教育「Knowbox」が160億円を調達

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教育テクノロジー企業「小盒科技(Knowbox)」(旧社名「作業盒子」)は先日、シリーズDで1億5000万ドル(約160億円)を調達した。リード・インベスターはアリババグループ、コ・インベスターは「雲峰基金(YF Capital)」、香港の「C資本(C Ventures)」、「ベルテルスマンアジア投資基金(BAI)」。資金はAIカリキュラムの改良に充てられる。

小盒科技は2014年の設立当初、K12(幼稚園年長から高校卒業までの12年間)の公立学校の教師や生徒向けに、試験問題データベースや宿題管理システムを提供していた。これをベースにユーザーを獲得した上で、BtoCの課金ゲーム形式の学習プログラムを開発し、収益化を狙った。ところが今年初め、教育部が学校教育連携型アプリの届出審査制度や生徒への課金禁止を発表。同社はこれ以降、AIと教育を融合させた新たなビジネスモデルの構築を進めている。現在の主力商品は「小盒課堂」と呼ばれるオンライン授業だ。

小盒課堂はAIを活用した小学2~4年生向けの算数の授業で、公立学校の学習指導要領と進度を参考として開発された。1回の授業は、実際の教師とAI教師による各45分間のレクチャーと学習サポートから構成される。各授業に90回以上のインタラクションが設けられ、利用者は3カ月に1度料金を支払う。客単価は約1200元(約2万円)で、オンライングループ指導塾の受講料とほぼ同額だ。現在は2万件の学習領域の取り込みが完了しており、1~2年後にはこの学年向け授業の開発が完了するほか、AI教師が授業全体を担当するようになるという。

小盒科技は次の段階として、各生徒のエンゲージメント(表情や反応など)をもとに、学習領域との適合性を改良していく。また算数に続き、国語や英語のカリキュラム開発も進めるとのこと。

同社がこれまでの5年間に蓄積した学習データは、全国31の省・自治区、400都市にある10万校以上の小中学校をカバーしており、データ件数は累計400億件に上る。全国各地域の学習レベルの差や教師の指導進度を反映させながら、個々の生徒に合わせた教育を行えることがAI教育の強みだ。

価格設定に関していえば、小盒科技は低価格路線を捨て、優れた教育内容に費用を払いたいと考えるユーザーに焦点を当てている。結果として、現時点で1万人を超える有料会員のうち30%が継続ユーザーとなっている。またアンケートによれば、AI授業の履修完了率は90%を超えており、実際の教師による授業と比べても遜色がない。

同社のAI教師はモーションキャプチャや音声合成技術を駆使して作成されており、初期投資コストからみれば一般的な録画映像をはるかに上回る。だが将来的な発展性、マージナルコストの低さおよび安定性では圧倒的に優位だ。さらにAI教師は人格的な一面も持ち合わせており、生徒に寄り添い励まし指導する中で、学習者との感情的な繋がりも生まれている。

小盒科技は今後、既存のAIカリキュラムをもとに教師の授業準備や生徒への予習・復習・宿題指示を支援する「小盒助教」や、保護者が子供の学習状況を理解し、家庭での指導を行える「小盒家長」といったシステムを開発し、教師、生徒、保護者の連携を後押ししていく計画だ。
(翻訳・神部明果)

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