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中国のスマホ大手シャオミ(小米科技)が家庭用フィットネス器具の分野に乗り出した。最初に手掛けたのは、あまり馴染みのない「ウォーキングマシン」だ。
傘下のECサイト「小米有品(xiaomiyoupin)」で昨年、「WalkingPad」と名付けられたウォーキングマシンのクラウドファンディングが行われると、製造を担うフィットネス器具メーカーの「金史密斯(KINGSMITH)」が予想した2000台を大きく上回る6000台がすぐに売れた。その後、同製品は小米有品で取り扱われるようになり、今年4月にはシャオミ傘下のスマート家電ブランド「米家(MIJIA)」の仲間入りを果たした。これまでの販売台数はすでに20万台に上る。
中国で最も普及している家庭用フィットネス器具はランニングマシンだ。「シャオミエコシステム(Mi Ecosystem)」プロジェクトマネジャーの梁暁英氏によると、商品開発に先立って行った調査により、ランニングマシンユーザーの最大の不満は器具が大きすぎることだと分かったという。
ランニングマシンを作るなら、速度と安定性を両立させる必要がある。マシンの構造や自重に対する条件も厳しくなり、不満を解消するための「軽くて薄い」「折りたためる」という目標を同時に達成することは難しかった。
梁氏らはそこから、器具の用途を「ランニング」から「ウォーキング」に変えることで難しい局面を打開できるのではないかと考えたのだ。
実際のところ、中国の一般的なユーザーは運動に対する関心がそれほど高くない。フィットネス器具の普及率は欧米が30%以上であるのに対し、中国ではわずか3%足らずだ。さらに、ランニングマシンユーザーの80%が、実際に利用する際のペースを時速6キロメートル程度としている。つまりランニングマシン購入者のほとんどは、歩くためにマシンを使っているのだ。
また、医学的に見ても、膝や関節を守るという意味では、特に高齢者にとって激しいランニングは適切ではなく、早歩きの方が選択肢として優れている場合もある。
ウォーキングマシンは全く新しい分野の製品ということもあり、シャオミは慎重に事を運んでいる。最初から米家基準で製造され、シャオミのプロダクトマネージャーが指揮を執っていたにもかかわらず、試験販売はパートナー企業のブランド名で行われた。これはシャオミエコシステムにおいて展開する無数の商品の中では珍しいケースだ。
シャオミのブランド力がWalkingPad成功に大きく貢献しているのは確かだろう。家庭用フィットネス器具の場合、販売台数20万台というのはまずまずの成績だ。2016年創業の「上海温嘉実業有限公司(Shanghai Wen-Jia Industrial Co.,Ltd.)」が手掛けるランニングマシン「小喬(OVICX)」の販売数は、2年かかってようやく25万台だ。
だが、シャオミが大ヒット商品に求める販売数はこれよりはるかに多い。シャオミエコシステム責任者の劉徳氏は以前、「100万台を超えなければ不合格。1品目あたり(の年間販売数は)最低でも100~1000万の間を確保しなければならない」と語っている。
シャオミは事業戦略を「スマホ」と「AI+IoT」の2本立てとしているが、ここ2年は大ヒット商品を生み出す力が明らかに衰えており、ロボット掃除機以外は特に目を引く製品を出せていない。
WalkingPadが大ヒット商品になるまで道のりはまだ遠い。ユーザーを既存のランニングマシンユーザーからフィットネスに目覚めた全ての人々にまで拡げることができれば、劉氏が言うところの「合格」商品となる可能性もあるかもしれない。(翻訳・池田晃子)
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