ファーウェイ、「5.5G」商用化に向け準備着々 24年にネットワーク機器発売へ

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ファーウェイ、「5.5G」商用化に向け準備着々 24年にネットワーク機器発売へ

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6月末に中国・上海市で開催されたモバイル機器の見本市「モバイルワールドコングレス(MWC)上海 2023」で、中国通信機器大手ファーウェイ(華為科技)は2024年に商用の5.5Gネットワーク機器を発売すると発表した。5.5Gモバイルネットワーク、5.5G固定通信ネットワーク、産業向けの「Net5.5G」をフルカバーするという。今や時代は5Gのさらに先へと進みつつある。

5.5Gとは―5G以上、6G未満

実は、5.5Gは正式な名称ではない。移動体通信の国際標準化機関3GPPは、5Gの進化形である5.5Gの名称を「5G-Advanced」と定めている。つまり5.5Gは技術的特性で5Gを上回るものの、6Gの水準には達していないということだ。

5G技術がたどってきた進化の過程は比較的分かりやすい。3GPPは2018年6月に最初の5G標準仕様「リリース15」を策定、大容量データの超高速通信を可能にする「eMBB(高速大容量通信)」が主な要件とされた。5Gで通信速度が速くなったと感じるのはこの通信技術のおかげだ。また20年に発表された「リリース16」では「URLLC(超高信頼性低遅延通信)」の機能が大幅に強化され、21年の「リリース17」では「mIoT(IoT機器の超多数接続)」が追加されている。

画像:中国聯通(チャイナユニコム)提供

5.5Gつまり5G-Advancedについては、「リリース18」で標準仕様の策定を予定している。最終的な仕様確定は今年末になる見込みだが、主な要件はほぼ固まっているという。リリース18では速度や遅延、容量、消費電力の面でさらに向上する見込みだ。

今年3月に開催された「MWCバルセロナ2023」で、ファーウェイは5.5Gの主な特徴を10Gbpsの超高速体験、オールシナリオIoT、センシングと通信の融合、レベル4の自動運転ネットワーク、グリーンICT(情報通信技術)の5つにまとめた。通信速度が1Gbpsから10Gbpsになるほか、接続機器数や低遅延性能も大きく向上する。

画像:ファーウェイ提供

5.5Gで何が変わる?

過去数年にわたり中国では5G網の整備が急ピッチで進められ、国内の5G基地局の数と5Gユーザー数ではいずれも世界トップを走っている。しかしユーザー目線では、5Gの恩恵を感じられる場面は限られている。個人が体感できる5Gといえば、通信速度の向上でダウンロードやアップデートにかかる時間が短縮されたことくらいだろう。

低遅延、大容量通信といった特性はむしろ、コネクテッドカーやドローン、クラウドコンピューティング、スマート農業など産業用インターネットの分野に適している。しかも5Gの商用サービス開始から4年たつ今も、5Gの特性を生かした画期的な活用方法は誕生しておらず、思ったほどの付加価値を生み出せていないのが現状だ。このような理由から、5.5Gが登場しても一般ユーザーへの影響は短期的に見てそれほど大きくないと考えられる。

画像:クアルコム提供

過去に公表されたデータによると、中国の通信大手3社(中国移動、中国聯通、中国電信)はすでに4000億元(約7兆8600億円)以上を5G事業に投じてきた。しかし各社は5G対応プランを猛プッシュする以外に、安定した投資回収の手段をほとんど見つけられていない。この上で5.5G事業にどれだけの資金を投じるかは未知数だ。

すでに述べた通り、5.5Gは5Gから6Gへと移行する際の過渡的な技術であり、5.5Gのすぐ後には6Gが控えていることになる。現時点で6Gに関する研究のいくつかがすでに進行中だ。スウェーデンの通信大手エリクソンは、6Gの最初の標準仕様となる「リリース21」は2027年に発表されると予想している。

画像:エリクソン提供

作者:雷科技(WeChat公式ID:leitech)

(翻訳・畠中裕子)

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