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中国のWebマーケティングにおいて、ショートムービーとKOL(キーオピニオンリーダー)の重要性は高まる一方だ。マーケティングリサーチ会社iResearchのデータによれば、2019年のインターネット広告におけるショートムービーのシェアは、2018年(3.9%)の約2倍となる7.6%に拡大し、市場規模は478億元(約7170億円)に達した。
ショートムービーを利用したKOLマーケティングがこれほど急成長したのは、2017年~2018年にかけて、大手ECプラットフォーム上で大量に配信されるショートムービー形式の動画広告がEコマースでのマネタイズを加速していることと深く関係している。
ショートムービーアプリ「快手(Kuaishou)」の場合、11月11日(独身の日)、12月12日(双12)等の大型セール期間の取引数は一千万件を超え、取引額も多い時は数十億円にのぼる。しかし、KOLや配信動画数の爆発的増加により、広告主企業は次のような課題に直面している。
■ 商品宣伝の依頼に対して、 KOLの承諾を如何に迅速に確認するか
■ KOLが過去に宣伝した商品や広告効果を如何に迅速に把握し、費用対効果を算出するか
■ KOLとの契約、広告の効果測定、支払いに至るまで、如何に効率的に処理するか
このような課題に対して、ビッグデータテクノロジー、ソフトウェア及びサービスを手掛ける「微瑞思創(Weiresearch)」は、「方舟(WEIARK)」というソリューションを提供している。これは、動画識別技術やビッグデータ分析を通じて、TikTok、快手、小紅書(RED)といったショートムービーアプリで活躍するKOLを分類し、広告主に最も適切なKOLを推薦するというサービスだ。さらに契約から支払いまでの業務を一括管理することもできる。
微瑞思創の創業者である夏振宇氏によれば、「方舟」の動画識別技術は、正式名称を「人工知能を利用した動画内のマーケティング行動の自動識別分析技術」といい、KOLの動画コンテンツ内の長期的なマーケティング行動に対して、ディープラーニングを活用した分析により、コンテンツ分類や効果測定を自動的に行うものである。具体的には次のようなプロセスを経るという。
■ 各動画アプリのビッグデータを統合した上で加工、分析を行い、投稿者を分類する
■ 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を活用したロゴ検出モデルを構築し、トレーニングを重ねてパラメータ最適化を行う
■ パラメータ最適化後、ロゴの有無を検出し、ロゴの位置、種類、名称に関するデータを取得する
■ 投稿者の過去の動画からロゴ情報を検出し、カテゴリー化する。例えば、美容、電子機器、スイーツ等。さらに、ブランドを特定する
微瑞思創の最終目標は、中小企業が低コストで商品広告を配信できる仕組みや、KOLの適正な報酬体系を作ることである。今後の計画について、夏氏は引き続き商品開発に力を入れて「方舟」のブラッシュアップを行うと共に、より多くのKOLやMCN(マルチチャンネルネットワーク)と契約を結びたいと語った。
微瑞思創の従業員は現在約100名で、共同創業者はオラクル、マイクロソフト、テンセント(騰訊)、NEC等の出身者だ。同社は2014年にエンジェルラウンドで「国泰創投(Cathay Venture)」から800万元(約1億2000万円)を調達し、2015年9月に中国の店頭市場「新三板」に登録した。2019年上半期の売上高は9100万元(約13億6500万円)で、すでに黒字化を実現している。
(翻訳・桃紅柳緑)
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