中国フードデリバリーの雄「美団」、ライブコマース市場に突撃 単月GMVは40億円を突破

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フードデリバリー市場で中国最大手の生活関連サービス「美団(Meituan)」が今年4月に初のライブコマースイベントを実施して以降、各方面がその動きを注視している。美団内では今年の全社レベルの戦略とされ、ライブコマースは次第に本領を発揮しつつある。

36Krが各方面より得た情報によると、美団のライブコマースは今年7月のGMV(流通取引総額)が前年同期比20%増のおよそ5億~6億元(約100億~120億円)だったが、翌8月には瞬く間に10億~12億元(約200~240億円)となり、GMVが1億元(約20億円)を上回るライブルームが次々に誕生した。10月には月間GMVが20億元(約400億円)を突破した。利用シーンはグルメや旅行、子育て、医薬品、スーパーマーケットなど、美団の生活関連サービスのほぼ全ての分野にわたる。

美団のライブコマース「美団直播」に参加する加盟店は36Krに対し「今年7月から10月には、毎月1万もの事業者が新たにライブコマースを始めた」と語った。しかし今のところ美団直播のトラフィックは、美団公式のライブルームに多く割り当てられている。美団直播のサイトを開くと、目立つ場所に掲載されているのは美団公式のライブルームが中心だ。内部関係者によると、美団直播のGMVのうち70%以上は美団公式ライブルームの売上げだが、その割合は徐々に下がっているという。

美団直播ページのスクリーンショット。4つのうち3つが公式ライブルームのもの。

ある業界関係者は、動画投稿プラットフォームの抖音(Douyin)が2022年下半期に生活関連サービス分野に参入したことが美団にかなりの影響を与えたとして「抖音が原因ではないとは言いにくい」と語った。

しかし第三者機関のデータをみると、美団直播のコンバージョン率(購入率)は平均で30%から40%だ。ある出店者は36Krに対し、美団直播全体の注文のうち最終的に出店者から購入する割合は60%程度で、抖音の倍近いと語った。

美団直播では美団公式のライブルームが中心となっているのも、抖音のようなプラットフォームとは異なる点だ。プラットフォームでは全国に店舗をチェーン展開する大手事業者の商品を選ぶ傾向がある。ライブコマースのコンバージョン率は高くなるものの、出店者側は割引きを大きくし、プラットフォーム側はトラフィックに応じた助成をしなくてはならない。

美団は公式のライブルームのほか、一部の地域で代理店を使ってライブコマースを行い、自らライブを行う出店者に対して全国のトラフィックを解禁した。つまり出店者はひとつのアカウントでライブを行えば、店舗展開する全国の都市全てに配信することができ、ユーザーは手に入れた優待券を最も近い実店舗で利用することができるのだ。

出店者を呼び込むため、美団の公式ライブルームでは出店料を徴収せず、出店者自身によるライブであってもほとんど手数料を徴収しない。しかしトラフィックのアルゴリズムが完成されておらず、金を払ってトラフィックを買い取る機能もないので、美団直播での成約や購入率が安定していないことを不満に感じる出店者もいる。

業界関係者によると、美団はライブコマース事業の年間GMV目標を設定しておらず、現在はライブコマースの基礎力強化や事業者の関与を増やすこと、地元事業者に適したライブコマースの形式を模索することに重点を置いているという。出店者とGMVの規模が徐々に大きくなれば、美団のライブコマースでもトラフィックを有料で購入する機能ができ、来年は事業化が重要な目標のひとつになるだろう。

*2023年12月18日のレート(1元=約20円)で計算しています

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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