パナソニック依存を脱却するテスラ 車載電池の自社生産へ大きく駒を進める

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米電気自動車(EV)製造テスラが、車載電池を自社生産に切り替える方針を実現に向けて進めているようだ。同社は先日、カナダを拠点とする車載電池製造の急成長株「Hibar Systems」を買収した。EV関連の米ニュースサイトElectrekが報じたものだが、買収金額など詳細は分かっていない。

今年7月時点でテスラの子会社リストには掲載されていなかったHibar Systemsだが、テスラが今月2日付でカナダの関連機関に提出した書類には子会社として同社の記載が確認されたという。つまり、買収は7月から10月までの間に行われていたということだ。

Hibar Systemsはカナダのオンタリオ州に本社を構え、中国とドイツに製造拠点を有している。同社の公式サイトはすでに閉鎖されているが、中国にある子会社の公式サイトを確認すると、同社はバッテリーの自動生産ラインや製造設備などを手がけていると記載されている。また同社はカナダ国立研究評議会による産業研究支援プログラム(NRC IRAP)から200万カナダドル(約1億6300万円)の補助金を受けている。

テスラが納車台数を急速に伸ばしていくには、車載電池の生産能力を上げることが必須条件の一つだ。現在、同社は提携するサプライヤーを増やしていくことで対処しているが、コストを抑えるためにも主にローカルのメーカーあるいはサプライヤーを確保していくようだ。

これまで長年テスラに車載電池を供給してきたパナソニックについては、両社の不協和音がささやかれている。テスラは、パナソニックのバッテリー生産ペースが自社製品の増産を阻む足かせだと考えているが、パナソニックの立場からすれば、EV市場の先行きが不透明な中、リスクを負ってまでも生産能力を拡大することは本望ではないと考えているようだ。

そこで、テスラは中国生産分の「モデル3」については、韓国のLG化学(LG Chem)が南京市で製造する次世代電池セル「NCM811」を使用すると発表。また、カナダのダルハウジー大学で研究に従事するバッテリーの第一人者ジェフ・ダーン氏を、同社の研究チームのリーダーとして招聘している。

しかし、テスラの最終目標は自社で電池を生産することだ。車載電池はEVの中核能力を担う部分であり、また大きくコストを割かれる部分でもある。さらに、車載電池の製造を外部に委託するということは自社の中核技術やデータを外部に流出させることと同義であり、完成車メーカーとしては分が悪い。車載電池の産業チェーンを握り、さらに生産コストを圧縮することができれば、より理想の電池ができ上がるだろう。

Hibar Systemsのほかに、テスラは今年2月にもバッテリー関連の技術開発を手がける米マックスウェル・テクノロジーズを完全子会社化。車載電池の自社生産体制確立に向けて着々と動いている。Electrekの報道によると、テスラは米カリフォルニア州フリーモントにバッテリー生産ラインを建設中で、すでにR&Dラボラトリーも立ち上げている。

テスラのこうした方針は、業界内ではすでに共通認識でもある。中国のBYD(比亜迪)、独フォルクスワーゲン、ダイムラーなども数年以内に車載電池を自社生産に切り替えるとしている。
(翻訳・愛玉)

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