原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録
中国スマートフォンメーカー大手のシャオミ(小米科技)は、9月下旬の新モデル発表会で、注目の新機種「Mi MIX Alpha」を披露した。
少量生産体制で12月に発売予定のMIX Alphaは、本体裏までほぼ全て覆ったディスプレイだけでなく、1万9999元(約30万円)という驚きの高価格。このインパクトで、崖っぷちにあるMIXシリーズを救うことができるのか。シャオミの課題は他にもある。
シャオミの奮闘
これまでミドル・ローエンド向け市場を得意としてきたシャオミが、ミドル・ハイエンド市場で勝ち続けるだけの「優れた最先端技術」はない。高価格帯モデルでもコストパフォーマンスの高さをうりにした戦略でつまずき、これがミドル・ハイエンド市場を攻める上で妨げになっていた。
そこでシャオミは、サブブランド「紅米(Redmi)」とのダブルブランド戦略によってハイエンド市場へのチャレンジを決める。
「紅米(Redmi)」は販売量、小米(Xiaomi)は技術というブランド戦略によって、小米は何も顧みることなく、ひたすら挑戦することができる」Redmiブランド総経理の盧偉冰氏は発表会でこう語った。Redmiの安定した販売量を頼りに、小米は採算・収益性に関係なくフラッグシップモデルで勝負に出ようというわけだ。
今回のモデルに搭載される自慢の技術もアピール。トリプル高速充電(40W有線充電、30Wワイヤレス充電、10Wリバースワイヤレス充電)、液体冷却システム、リニア共振アクチュエータなどがそうだ。
同社にとって最高価格となる1万9999元(約30万円)のMi MIX Alphaは量産向けモデルではない。採算度外視のマイナー商品だ。シャオミは今後、どうやってハイエンドモデル市場での販売台数を増やしていくのか。
華米OV(華為・小米・OPPO・vivo)間の競争
表面からサイド、背面までを1枚のディスプレイで包み込んだようなディスプレイは確かにインパクトを与える。だが、ライバル各社もこれに負けない製品を発表している。
ファーウェイ(華為科技)はホライゾンディスプレイとクアッドカメラを搭載した「Mate 30 Pro」、vivoはウォーターフォールディスプレイの「NEX 3」、 OPPOは「Reno」に10倍ズームカメラを搭載。
シャオミ広報部によれば「サラウンドディスプレイは、フォルダブル(折りたたみ)ディスプレイより技術難易度は高い」という。
シャオミが次の機種に応用できる技術は、1億800万画素の超高解像度カメラだ。これを搭載する「Mi 10」や「MIX4」のシリーズ機種を2020年頃に発表するとみられるが、シャオミがハイエンド市場において確固とした地位を築けるかはこの両機種、もしくはそれに近い位置づけのフラッグシップモデルが決め手となるだろう。
コア事業のテコ入れ
シャオミの三大事業、スマートフォン・IoT・ネットサービスのうちスマホ事業は売上高の過半数を占め、スマホの売れ行きが同社の業績を左右する。2018年第1四半期以降、スマホの売り上げ成長率は、売上高全体の伸び率に比べ鈍化している。
しかし出荷量をみると海外市場向け出荷量はそれほど落ちてはいない、ほぼ安定している。
問題は中国国内向けだ。海外向けはコスパの良さで優位に立つが、国内では価格競争で劣勢気味。海外向け出荷量の伸びが、国内の遅れをカバーしているような状況だ。
シャオミにとって中国スマホ市場は、売り上げのみならずネットサービスによる収益をもたらす重要な源泉である。第2四半期決算で公表された最新データによると、シャオミが開発したファームウェア「MIUI」のMAU(月間アクティブユーザー数)は1億1510万人で、MIUIユーザー全体の42.3%でしかない。中国ユーザーの更なる取り込みが急務となる。
シャオミは2018年第3四半期から積極的に製品ラインナップのテコ入れを始めた。その改革は今なお続いている。
発表会の後、シャオミが技術イノベーションに重点を置いていることが改めて確認された。5G対応フラッグシップモデルなどハイエンド向け製品を積極的に手がけることで中国市場をなんとか挽回したい。5G対応モデル9 ProとMIX Alphaは始まりに過ぎない、今後も技術革新は続く。
(翻訳:貴美華)
原文はこちら
セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け
メールマガジンに登録