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この数年、低空経済や、電動垂直離着陸機(eVTOL)など未来の交通手段が話題を集め、多くの新興企業が誕生した。
そのうちのひとつ、江蘇省昆山市に拠点を置く「航天時代飛鵬(Feipeng)」がこのほど、ドローンによる海上横断輸送に国内で初めて成功した。使用したのは、現時点で世界最大の商用ドローンとなる大型固定翼機「FP-98 獅子座」だ。
世界最大の商用ドローン
アマゾンが2013年にドローン配送を開始して大きな話題となった頃、中国ではちょうどドローン企業の創業ブームが起きていた。消費者向けドローン最大手のDJI(大疆創新科技)や、農業用ドローンのXAG(極飛科技)などはその代表格だ。
国内物流業界のトップ企業である順豊控股(SFホールディング)も無人輸送に乗り出し、幹線物流用に大型有人輸送機、支線物流用に大型ドローン、末端物流用に小型ドローンを揃える計画に取り組み始めた。
それから10年後の今、参入しやすい飛行距離10キロメートルのドローン市場では多くのメーカーがマルチコプターを完成させ、激しい競争を繰り広げている。しかし飛行距離が100キロメートル、1000キロメートルと伸び、機材が大型化すると、参入ハードルは一気に上がる。
順豊控股の傘下にある順豊航空は国内で最多の貨物輸送機を運用していたが、支線物流をドローンに切り替えるために、大型ドローンを開発する企業を探していた。
航天時代飛鵬の劉澤峰CEOによると、順豊航天は支線物流の輸送用に、ペイロード(最大積載量)が大きく飛行距離の長い無人輸送機を手に入れたいと考えた。その点で、2005年からドローンの研究開発に取り組む「中国航天科技集団有限公司第九研究院(以下、航天九院)」がナビゲーションやコントロール、リモート測量などのコア技術を有しており、順豊航天の必要とする技術力を持ち合わせていたことから、2017年11月に業務提携を結んだ。
順豊航天と航天九院は大型ドローンの商用運航プロジェクトを推進するため、2020年に合弁会社の航天時代飛鵬を設立。同社のペイロード1.5トン、最大飛行距離1200キロメートルで、販売価格が約1000万元(約2億円)のFP-98 獅子座が、無人輸送機として商用運航されることになった。
FP-98は今年4月18日に民用航空局華東地区管理局から型式証明(TC)を取得し、同月24日に、養殖用稚エビの海上横断輸送という初のミッションを成功させた。
航天飛鵬はすでに、広東省・香港・マカオから成るグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)と海南省を結ぶドローンの定期運航について関係各方面と合意している。
航天時代飛鵬は複数のタイプの機材を提供するこの分野では数少ないメーカーだ。幹線物流、支線物流、末端物流向けにそれぞれ、飛行半径1000キロメートル、ペイロード1トン以上の「双千」シリーズ、飛行半径100キロメートル、ペイロード100キロの「双百」、飛行半径10キロメートル、ペイロード10キロの「双十」をシリーズ展開している。
航天時代飛鵬は、ドローンメーカーはサービス業であり、将来的にはサービス提供による収益の割合をさらに大きくしたいと考えている。「ユーザーはさまざまなタイプや大きさのドローンをただ購入するだけでなく、多くのシーンで利用したいという要望があるので、実際の運用能力も重要だ」。例えば、昆山市消防局と協力した際には、マルチコプターに消火弾2発を搭載し発射できるようにしたという。
しかし商用運航するには、1社だけではどうにもすることができない。劉CEOは、今後ドローンの技術が完成し政策が整備されれば、自動車並みの巨大産業に発展するかもしれないと考えている。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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