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車載用の発光ダイオード(LED)を開発する中国企業「深圳市華皓偉業光電(H-Great)」(以下、華皓偉業)がこのほど、シリーズAで敦鴻資産(DH)と国芯創投から4000万元(約8億8000万円)を調達した。資金は生産能力の拡充、新製品の開発、市場拡大に充てる方針だという。
2014年に設立された華皓偉業は、車載LEDのほか、ミニLEDと植物育成用LEDを手がけている。10年近くにわたり高性能LEDの設計・封止技術を積み上げて車載LED市場に参入し、他社に先駆けて大手自動車メーカーのサプライヤーとなった。同社のLEDは、ヘッドランプやテールランプ、ルームランプなど各種照明のほか、車載ディスプレーに利用されている。
自動車市場が成長するにつれ、デジタルコックピットやスマートカー、デジタル制御の照明などの需要が拡大し、これら新たな技術を支える産業も台頭するようになった。世界中のLEDサプライヤーは現在、車載用製品の展開を強化し、市場のニーズにより細かく応えようとしている。
調査会社TrendForceは2023年に発表した世界の車載LED市場に関するリポートで、世界の車載LEDメーカーが開発とプロモーションに取り組んだ結果、ADB(配光可変ヘッドランプ)やアンビエントライト、ディスプレーのバックライト、グリルランプ、横長タイプのテールランプなどへの活用が進んだと指摘。24年の車載LEDの生産高は34億ドル(約5500億円)に達するとの見通しを示した。
華皓偉業は、大きな可能性を秘めた市場に正面から臨み、車載LEDの開発と製品ラインアップの拡充を進めている。バックライト用LEDに関しては早い段階で量産化を実現。ヘッドランプ用LEDには独自の共晶接合技術を用い、温度上昇を効果的に抑えることに成功している。また、テールランプと昼間点灯ランプ(DRL)については、自動車の航続距離に影響する消費電力を30%低減した。同社の製品ラインアップは、ドイツの照明大手OSRAM(オスラム)や韓国のLED専門メーカーSeoul Semiconductor(ソウル半導体)に匹敵するが、価格を抑えて中国自動車メーカーのコスト低減に貢献する。
従来の車載ディスプレー向けバックライトは、明暗比や輝度が不十分だった。ミニLEDバックライトならこの問題を解決できるが、一般的なミニLEDバックライトは分厚い上に金型から変える必要もあるため、量産は難しかった。
華皓偉業は中国の同業他社に先駆けて、直接の置き換えが可能なミニLEDバックライトを開発した。明暗比を改善した上で、1000ニット以上の高輝度でも一定の放熱効率を保てるようにしたほか、有機EL(OLED)並みの薄さと明暗比ながら、有機ELよりも長持ちするという特長がある。現行のミニLEDバックライトの輝度は中国では最高の5000ニットとなっており、すでに大規模供給を実現している。
同社の楊志隆・最高技術責任者(CTO)によると、車載LEDには高い信頼性と性能が求められるため、これまでは海外のLEDメーカーが市場を独占してきた。一部の中国LEDメーカーが車載分野に参入しているが、車載照明メーカー向けにロゴランプやウェルカムランプを開発するか、低価格車種のテールランプを手がけるにとどまるという。その理由について、楊CTOは「中国のLEDメーカーは車載分野での経験が乏しく、製品の規格策定やテスト方法に関する知識が十分にあるとは限らない。しかも車載LEDのテストの工程は極めて複雑で、所要期間も非常に長い」と述べた。
中国では、自動車のスマート化を担う部品の多くで国産化を実現しているものの、LEDを含む車載用半導体の国産化率は極めて低い。華皓偉業はこの現状を打破するため、車載LED事業を拡大すると同時に、新エネルギー車向けにSiC(炭化シリコン)を利用した半導体リレー(継電器)なども手がけていくという。
創業者の陳志明氏によると、華皓偉業は自動車大手の吉利汽車(Geely Automobile)と戦略提携を締結しており、年内にも同社のスマートLEDを搭載したモデルがラインオフする予定となっている。同車種の車載ディスプレイを担当する家電大手のTCLとは、ミニLEDの提供で戦略的パートナーシップを結んでいる。
*1元=約22円、1ドル=約161円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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