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パリ五輪が閉幕した。中国は海外開催の五輪としては過去最多の金メダル40個を獲得し、連日大変な盛り上がりだった。今大会は中国企業の製品も多数採用されており、こちらも話題になっていた。その中から、中国テックのハブとして知られる深圳のメーカーを紹介したい。
LED大型スクリーンで観戦盛り上げる
LEDスクリーンメーカーのAbsen(アブセン)は、開会式が開かれたセーヌ川両岸、ファン観戦エリア、パリ市役所広場などに50枚以上の大型ビジョンを提供した。
Absenは1996年に大学を卒業後、小さな電子工場で働いていた丁彦輝氏が友人2人と2001年に設立し、町工場としてスタートを切った。丁氏は工場勤務時に初めてLED技術に触れ、市場の成長を確信したという。
数年は細々と展開していたが、2005年に中国最大の貿易イベントである中国輸出入商品交易会(広州交易会)に出展したことで転機が訪れる。中東の顧客からまとまった発注を受け、海外市場に目を向けるようになったのだ。当初は技術力で欧米メーカーにかなわず価格だけで勝負していたが、海外から部品や技術を導入して徐々に競争力を高めていった。
Absenが中国メディアに語ったところによると、同社の製品は五輪前からフランスで浸透しており、スタジアムの他、カンヌ国際映画祭、ファッション・ウィークのような芸術・エンタメのイベントでも採用されていた。五輪での採用も、それまでの実績を考えれば当然の流れでもあったという。
深圳にはLEDスクリーンメーカーが集積しており、大手の一角を成すUnilumin(ユニルミン)も閉会式や陸上競技などが行われたフランス最大級のスタジアムの「スタッド・ド・フランス」など5カ所にLEDスクリーンを提供した。
ドローンで環境に優しい夜のイベント
今大会のキーワードの一つは「環境への配慮」だった。二酸化炭素の半減を目指し、エアコンを設置せず、選手村では野菜中心の食事を用意した。
聖火がパリに到着した7月14日(現地時間)の夜にはエッフェル塔を背にショーが開催されたが、花火とともに深圳に本社を置く「高巨創新(HIGH GREAT)」のドローンが登場した。
フランスの五輪イベント企画チームが、環境に優しい夜のパフォーマンスを模索し、深圳ではすっかり定着しているドローンショーに目をつけたという。LEDを搭載した1100機のドローンは、フランス革命と五輪を祝うアニメーションを夜空に描き、祭典を盛り上げた。
(文・浦上早苗)
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