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中国通信機器大手、華為技術(HUAWEI、ファーウェイ)は9月20日、待望の三つ折り画面のスマートフォン「Mate XT」が正式に消費者にお目見えし、2万元(約40万円)近い高価格にもかかわらず、発売日には無数の消費者が争って購入を求めた。 9月7日の予約開始以降、わずか10日間で、公式サイトでのMate XTの予約数は626万人を超えたと報告されている。
MateXTの最大の目玉は、画期的な三つ折り画面の設計にほかならない。完全に閉じた状態で1画面を利用する場合は6.4インチ、完全に開かずに2つの画面を利用した際の7.9インチ、そして完全に3画面を開いた状態では10.2インチの大画面になる。さらに、世界最薄の折り畳みスマホの偉業を達成し、3画面を開いた状態での厚みはわずか3.6ミリで、持ち運びやすい。
市場調査会社の集邦咨詢(トレンドフォース)によると、2023年の折り畳み式画面のスマホの世界販売台数は約1590万台で、スマートフォン全体の販売台数のわずか1.4%に過ぎない。2024年には1.5%になると予想されている。米調査会社IDC(International Data Corporation)のデータによると、2024年4~6月期の、中国の折り畳み式スマホの出荷台数は257万台に達し、ファーウェイ1社で全体の41.7%を占め、出荷台数は107万台に達した。
しかし、折り畳みスマホの成長が急速に伸びたとしても、総じてみれば少数の特殊な需要を満たすニッチ市場のレッテルを払拭して、多くの人が手に取るマス(大衆)市場に入っていくにはまだまだ難しい。
ある折り畳みスマホのサプライヤー筋によると、高コストが高価格につながっていることが、折り畳みスマホがニッチ市場に限定されている主な要因で、三つ折りになれば、さらにその傾向は顕著になるだろうと指摘した。 以前に、海外ブロガーのjasonwill氏は、ファーウェイの三つ折りスマホのプロトタイプが3万5000元(約70万円)を超えたことをSNS上で暴露した。
また、業界のサプライヤー情報筋はガラケーのような縦折りの「フリップ型」、本のような横折りの「フォールド型」といった二つ折りに比べて、三つ折りは折り畳み式OLED画面と2か所のヒンジ(開閉)構造の両方を使用する必要があり「コストと歩留まりが難しい問題だ」と述べた。山西証券(Shanxi Securities)の調査報告によると、現在のヒンジの歩留まりは業界の中央値で50%から60%程度だという。
ファーウェイの消費者向け事業を統括する余承東(リチャード・ユー)・上級取締役は新商品発表会で、コストについて言及した。三つ折りスマホのコストは確かに非常に高いが、工程を継続反復することで、歩留まりが向上し、コストの削減につながる。 また、コストがかかることから三つ折りスマホは高価格になり、高価格ゆえに購入するユーザーを制限してしまうという。
アップルとのハイエンド市場の争奪戦
MateXTは、販売量でヒットさせる役目を負うというよりも、ファーウェイが再びハイエンド市場に攻め込むためののろしだと言える。
ファーウェイの新商品発表会と同じ日に、米アップルは新しいスマホのiphone 16シリーズを最高価格1万3999元(約28万円)でリリースした。 アップルの記者会見によると、iPhone 16シリーズでは、チップ、人工知能(AI)、カメラ性能をさらに強化した。iPhone 16の全シリーズのチップは、生成AI「アップルインテリジェンス」(Apple Intelligence)をサポートしている。
iphone 16シリーズの外観は依然として伝統的なもので、革新性が不足し、AIに対するユーザーの印象は強くないため、市場では新味が乏しいという評価につながった。以前、iPhoneを販売していた転売業者は、36Kr傘下のメディア「Tech星球」に「昨年のiPhone 15シリーズではあまり利益が出なかった」と明かし、1台も仕入れるつもりはないと語った。
アップルは常に、ハイエンドスマホ市場の紛れもないリーダーだった。しかし、「Mate 60」シリーズのリリースと自主開発のスマホ向けSoC「Kirin」の復活により、ファーウェイが中国のハイエンドスマホ市場に猛攻勢をかけている。
市場調査会社「Canalys」のデータによると、中国本土の600ドル(約8万7000円)以上のスマホ市場では、アップルは2024年1~3月期に販売額が前年同期比で25%減少し、市場シェアは54%となった。これに対し、ファーウェイは67%伸びシェアは26%となった。ファーウェイが2024年4~6月期にアップルを猛追しており、差は縮小した。アップルの販売額は前年同期比7%減少し、市場シェアはさらに52%に低下したが、ファーウェイは前年同期比82%増加し、市場シェアは30%に上昇した。
ファーウェイの過去2年間のシェア回復は、基本的にMateシリーズやPシリーズなどのハイエンドモデルの売れ行きが好調なためで、その中でも折り畳みスマホはファーウェイにとってアップルとの差別化を図り、ハイエンドユーザーにインパクトを与えるための起爆剤となっている。
北京にあるファーウェイの代理店はテック星球に、ファーウェイの折り畳みスマホは現在、店舗での売り上げの3分の1近くを占めていると明らかにした。「MateX5」と「novaFlip」は、それぞれフォールド型とフリップ型の折り畳みスマホのユーザーをカバーしている。三つ折りの発売により、ファーウェイの折り畳みスマホシリーズの製品の種類が豊富になり、より幅広い顧客層をカバーできるようになった。
しかし、製品の形状と価格帯から、Mate XTとiPhone 16の顧客層が異なっており、まだ発売されていないファーウェイのMate 70シリーズがiPhone 16シリーズの直接のライバルになると販売店は考えている。
現在のスマホ市場は非常に競争が激しく、Mate 60シリーズから今回発表されたMate XTまで、ファーウェイとアップルの対決は今後ますます激しくなっていくだろう。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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