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インド発のホテルチェーンOYOが、さらに多くの資金を必要としている。
テンセントニュースが、海外メディアを引用し、インド発のホテルチェーン大手の「OYO Hotels & Homes」が、創業者のリテシュ・アガルワル(Ritesh Agarwal)氏や日本ソフトバンクグループなどから15億ドル(約1600億円)の資金調達を計画していると報道した。アガルワル氏は、同社の発行する新株を7億ドル(約760億円)購入すると見られる。
残りは「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」、「光速中国(Lightspeed China Partners)」、「セコイア・キャピタル・インド」から調達する。
OYOは今年7月、アガルワル氏が保有する「RAホスピタリティ・ホールディングス(RA Hospitality Holdings)」を通じ、既存株主から株式を買戻したり、新株を買い足したりして約20億ドル(約2200億円)分を調達している。これにより同氏の持株比率は10%から約30%へと拡大した。
OYOは2013年に設立されたインド初のスタートアップホテルチェーンであり、SVFや光速中国、米「Greenoaks Capital」、セコイア・キャピタル・インド、「Airbnb(エアビーアンドビー)」など、世界をリードする投資家を引き付けてきた。OYOの評価額は今では100億ドル(約1兆円)となり、インドのスタートアップ企業の中では、電子決済大手「ペイティーエム(Paytm)」の親会社「ワン97コミュニケーション(One97 Communications)」に次いで2位となっている。
買戻したかと思えば新株発行、OYOの思惑とは?
創業者自身がリードして20億ドルものマネジメント・バイアウトを行うのは、インドでも前代未聞である。概して経営陣が自社株式を買い戻すのは士気高揚のためであったり、会社の価値が長期安定していることを示すためだが、今年7月のOYOは人員削減、契約解除、中国のオンライン旅行会社(OTA)による締め出し事件などのマイナス要素を耐え忍んでいるところだった。
外部から資金を調達しながら株式を買い戻せば、株式が希釈されることが避けられ、それゆえに一定の発言権と統制権を維持できる。20億ドルの株式買戻しにより、アガルワル氏とOYO経営陣はSVFに次ぐ大株主となった。SVFはOYOの株式の48%を保有しているが、双方が制定した約款によれば、アガルワル氏、セコイア・キャピタル、光速中国、Greenoaks Capitalが承認しない限り、SVFは持株比率49.9%を超えてはならないことになっている。
OYOは今まさに米国、欧州、中国などへと海外展開を進めている最中だ。全世界に100万室を所有し、マリオットホテルなどと並ぶ世界有数のホテルチェーンとなった。公式データによると、OYOホテルは中国、米国、ブラジル、日本、欧州、東南アジアなど80カ国以上、800余都市をカバーし、中でもインドの客室は20万室、中国では59万室以上となっている。これに対して中国のフランチャイズホテル「華住集団(HUAZHU Group)」の客室数は中国全土で42万室だ。
つまり、OYOのシェアと市場価値の成長には、中国市場が相当程度貢献している。ただ問題は、参入条件の低さ、加盟料無料や助成金の大量給付などの過激な拡張戦略が、OYOの資金を大量消費していることで、資金繰りが苦しいという事態を招いている。加速度的成長を続け、シェアの優勢を保つと同時に中国のオンライン旅行会社大手「Ctrip(携程)」や生活関連O2Oサービス企業「美団点評(Meituan-Dianping)」からの攻勢に対処し、激戦を勝ち抜くには、OYOは外部からの補給路に頼らなければならないのだ。
(翻訳・永野倫子)
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