「世界最小の遊星ローラーねじ」開発で注目浴びた中国メーカー、自動車や人型ロボットの需要増で好況

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遊星ローラーねじの開発を手がける中国スタートアップ「諾仕機器人(NOUS BOT)」がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億~十数億円)を調達した。出資には成為資本(Chengwei Capital)、険峰長青(K2 Angel Partners)、Plug and Play Chinaが参加した。資金は製品回月や事業拡大、人材採用に充てられるという。

諾仕機器人は2023年7月に設立され、広東省深圳市に研究開発センターを、上海市に生産拠点を設け、遊星ローラーねじやアクチュエーターの設計と生産に注力している。

創業者の徐楊氏は同済大学・機械製造学の出身で、共同創業者の王暁斌氏は世界トップの自動車部品メーカーに勤務していた。創業チームのコアメンバーでねじ分野の著名な専門家の徐根林氏は上海大学の元教授で、機械製造分野に50年近く携わっている。

上海市にある諾仕機器人の生産拠点

遊星ローラーねじは高い精度と性能を誇る伝動装置で、遊星歯車機構によってサイズが抑えられているため、スペースの限られた機器の中にも取り付けやすい。

遊星歯車が荷重を分散して受けるため軸力が大きく、一般的なローラーねじよりも3~5倍の大きな耐荷重と15倍の寿命があり、主に製造や航空宇宙、医療機器、軍需などの分野でさまざまな精密機械や自動化装置に活用されている。

遊星ローラーねじの生産は、高温・低温の時効処理や焼入れなどの複雑な工程があり高い技術が求められる上、コストも高く、中国国内の市場はスイスのRollvisやGSA、スウェーデンのEwellixなど海外メーカーが握ってきたため、国産品への切り替えが進む余地は大きい。

この市場に注目した諾仕機器人は、革新的な技術と金型の設計スキルによって世界最小の遊星ローラーねじを開発した。このねじは直径わずか2ミリ、ナットが直径6ミリで、リニアアクチュエーター内にあるスペースの利用効率を大きく向上させる。ロボットハンドなど向けに極小スペースで正確に制御するリニアアクチュエーターソリューションを提供し、従来製品の抱えていた寿命や効率、耐荷重などの問題を解決した。

同社は独自の高精度金属成型技術を採用し、遊星ローラーねじの安定した量産を可能にした。低コストで強度や耐久性、精度の高い製品の生産と納品を実現し、人型ロボットの量産や自動車産業、スマート製造業向けに信頼性の高いソリューションを提供している。

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例えば人型ロボットでは、遊星ローラーねじはモーターの回転運動を直線運動に換えることで関節へ正確に力を伝える大切な役割を担い、歩く、走る、跳ぶといった人のようなさまざまな動きを可能にする。

人型ロボット用の逆回転式遊星ローラーねじ

また、自動運転の分野では精度の高い位置決めとステアリング制御に活用される。遊星ローラーねじは、自動運転システムが車両の進む方向と位置を正確に制御し、車両が所定のルートとスピードに沿って走行できるよう支える。さらに、自動運転に使うセンサーやアクチュエーターにも幅広く活用され、LiDARやカメラなどのセンサーと組み合わせることで、正確に対象エリアを向いて鮮明な画像データを取得できるようになる。

諾仕機器人は着実に収益化を進めており、製品は人型ロボットのロボットハンドおよび本体に使うリニアアクチュエーターやリチウムイオン電池用コーターのほか、医療機器、溶接ロボットアーム、自動車EMB(電子機械ブレーキシステム)、高精度光学機器の位置決め、工作機械などの分野をカバーし、業界トップクラスの顧客からも高評価を得ているという。

人型ロボットへの遊星ローラーねじ・リニアアクチュエーター活用イメージ

*1元=約21円で計算しています。

(翻訳・大谷晶洋)

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