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アクションカメラのパイオニア、米ゴープロは2004年に35mmフィルムタイプの初代「GoPro」を発売し、これまでアクションカメラの代名詞として君臨してきた。11年後の2015年には、リコーが360度カメラ「THETA」を打ち出し、パノラマカメラ業界の急成長を後押しした。
そして今、ゴープロやリコーを脅かす新たな存在が現れた。中国深圳発の新興アクションカメラブランド「Insta360」だ。
Insta360は2024年上半期の販売台数でGoProを抜き、世界一のアクションカメラブランドとなった。また、調査会社の米フロスト&サリバンによると、23年の消費者向けパノラマカメラ市場ではシェア67.2%を占め、12.4%で2位となったリコーを大きく引き離し圧倒的首位に立った。
Insta360を運営する「影石創新」はこのほど、中国証券監督管理委員会から上海のハイテク新興企業向け市場「科創板」への新規株式公開(IPO)を承認された。中国では業界初の上場企業となり、創業者で最高経営責任者(CEO)の劉靖康氏は科創板で最も若い経営者の1人となる可能性が高い。
劉氏は1991年7月生まれで、南京大学でソフトウエア工学を学び、2014年に卒業した。在学中は「テクノロジーキング」と呼ばれるほど技術研究に熱中したという。

劉氏は2015年にInsta360を創業。当初はVR(仮想現実)カメラやパノラマカメラを手がけていたが、17年にアクションカメラ市場に参入し、現在は消費者向けとプロ向けの製品を打ち出している。主力製品には、360度カメラの「X」シリーズと「ONE R」シリーズ、アクションカメラの「GO」シリーズと「Ace」シリーズ、人工知能(AI)搭載ジンバル「Flow」シリーズ、ウェブカメラ「Link」シリーズなどがある。
Insta360は優れた技術革新力と製品力を背景に、独ライカカメラや米グーグル、米アップルなど世界的ブランドとの提携を果たした。2018年には世界のアップルストアで取り扱いが始まり、現在も唯一のカメラブランドとして11製品を提供している。製品はすでに200カ国・地域に広がっており、ユーザーは数百万人に上る。
上場目論見書によると、2021年〜24年上半期の売上高は13億2800万元(約280億円)、20億4100万元(約430億円)、36億3600万元(約760億円)、24億2800万元(約510億円)。純利益は2億6600万元(約56億円)、4億700万元(約85億円)、8億3000万元(約170億円)、5億1800万元(約110億円)と順調に推移している。中国メディアによると、23年は欧米や日本、韓国を中心に海外売上高が全体の8割前後を占めた。
IPOによる調達額は4億6400億元(約97億円)を予定しており、工場や研究開発センターの建設プロジェクトに順次資金を投入する計画だという。
注目すべきは、消費者向けアクションカメラ分野ではゴープロはもはや敵ではないとし、新たなライバルとして中国DJIを挙げたことだろう。
ドローン世界最大手のDJIは2019年にアクションカメラ分野に参入して以来、常にInsta360と比較されてきた。米誌「WIRED」がこのほど発表した「The Best Action Cameras」では、DJIの「Osmo Action 5」がバッテリー駆動時間や画質・音質、コストパフォーマンスの高さが評価され、総合最優秀アクションカメラに選出された。
一方、Insta360の「Ace Pro2」はビデオブログに最適なアクションカメラに選ばれた。同じセンサーを搭載するOsmo Action 5は録画を4Kに制限しているが、Ace Pro2は8K動画を撮影できることや、GoProよりもはるかに優れた低照度性能が評価された。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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