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リリース直後から注目を集めている中国発AIエージェント「Manus(マヌス)」の親会社「蝴蝶効応(Butterfly Effect)」が、米国のベンチャーキャピタル・Benchmark Capitalの主導で新たに7500万ドル(約110億円)を調達したことが明らかになった。ブルームバーグが報じた。蝴蝶効応はこれまでに、真格基金(Zhen Fund)や紅杉中国(Hongshan、旧セコイア・チャイナ)、中国ネットサービス大手のテンセントなどから2度資金を調達している。今回の調達で同社の評価額は1億ドル(約150億円)から5億ドル(約730億円)近くに跳ね上がった。
Benchmark Capitalはシリコンバレーの著名投資機関で、これまでに米越境ECのeBayや配車サービスのUber、ツイッター(現X)やインスタグラム、動画共有アプリのSnapchatなどへ投資し数多くの成功を収めてきた。
蝴蝶効応は2022年に設立され、Manusをリリースする前にはブラウザ拡張機能AIチャットボット「Monica」の開発を手掛けた。MonicaはOpenAIやAnthropic、Google、DeepSeekなどの生成AIを利用してユーザーとチャットしたり、文章を作成したりする機能を持つパーソナルAIアシスタントだ。
Manusは今年3月6日、世界初となる完全自律型の汎用AIエージェントという触れ込みで突如登場した。これまでのAIアシスタントと異なるのは、複雑に変化するさまざまなタスクを解決することができ、提案や回答を提示するだけでなく、タスクを完了させ、例えば人材採用時の評価、株価分析、パワーポイントやショート動画の作成などのように、かたちにして返してくれることだ。現在はベータテストの段階で、招待コードがなければ体験することはできない。中国国内の転売プラットフォームでは、この招待コードが取り引きされ、価格は5万元(約100万円)にまで高騰している。
Manusは3月11日にアリババクラウドのオープンソース大規模言語モデル「通義千問(Qwen)」との戦略的提携を発表した。通義千問をベースに、中国の演算プラットフォーム上にManusのすべての機能を実装する計画という。
Manusは大きな注目を集めると共に、批判にもさらされてきた。好意的な反応としては、Manusがマルチエージェントシステムを通じて、強力な大規模言語モデルと関連ツールを統合し、誰でも使いやすいツールに仕上げ、AIにものを生み出す力を与えたと評価する声がある。一方で、Manusは既存のAIに外装をかぶせただけで、独自の基盤技術やイノベーションは持ち合わせていないと批判する人もおり、AIモデルを開発する企業がAIエージェントを手がけるようになれば、Manusの競争力は失われると主張する。
また、ユーザーからの注目度が高いとはいえ、サーバーの処理能力や運用コストの関係でサービスの提供には限界がある。米テック系メディアThe Informationは今年3月、業界関係者の話として、ManusがAnthropicの生成AI「Claude」やその他のツール使用にあたり、Anthropicに対しタスク1件につき平均2ドル(約300円)を支払っていると報じた。Manusは高額なコストを埋め合わせるため、月額39ドル(約5700円)、アップグレード版は月額199ドル(約2万9000円)のサブスクリプションサービスの提供を開始した。
Manusは招待制を採用してユーザー数を制限しており、招待コードをもらうためのウェイティングリストには260万人が登録しているともされる。業界関係者は、今回の新たな資金調達により、サーバーの処理能力不足でサービスが制限されている状況の改善が期待でき、海外市場の開拓を資金面で支えることにもなると分析している。
蝴蝶効応は調達した資金で米国や日本、中東などにもサービスを拡大する計画だ。関係者によると、日本で新たな拠点の開設を準備しているという。
*1ドル=146円、1元=約20円で計算しています。
(翻訳・36Kr Japan編集部)
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