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スマートフォン(スマホ)の指紋認証、ポップアップ式カメラ、全面ディスプレイといった機能が出揃った現在、中国スマホ大手「vivo(ビボ)」も次世代通信規格「5G」デュアルモードのスマホを巡る競争に加わった。
vivoは11月7日午後、記者会見を開き、韓国のサムスン電子と共同開発した新型プロセッサ「Exynos 980」を搭載した「vivo X30 5G」シリーズを12月に発売すると明らかにした。同社はこれまでプロセッサの外部調達を行ってきたが、今後は需要予測に基づいて向こう3~4年のニーズに対応できるプロセッサを設計し、消費者ニーズと技術開発を呼応させていきたいとの考えを示した。
Exynos 980が初公開されたのは9月4日。ファーウェイ傘下の半導体メーカー「海思半導体(HiSilicon)」が開発した「Kirin 990」と同様、NSA/SAネットワークアーキテクチャに対応する5Gモデム内蔵SoCとなっている。Exynos 980はサムスンの8nm FinFETプロセスを採用し、CPUはCortex A77(2.2GHz動作)2つとCortex-A55(1.8GHz動作)6つで構成され、GPUのMali-G76 MP5とNPUを内蔵している。
Exynos 980はミドルレンジ、ハイエンドスマホ市場向けのプロセッサで、NSA方式とSA方式に対応する5Gデュアルモードをはじめとする2020年のスマホ向けプロセッサに求められる全ての特徴を備えている。半導体大手の米クアルコムや台湾の「メディアテック(聯発科技)」の5Gモデム内蔵SoCが商用化の段階にないことから、vivoはサムスンとExynos 980を共同開発したことで、5Gデュアルモードスマホで競合他社に先行することができた。
vivo副総裁の周圍氏は記者会見で、同社とサムスンがExynos 980を共同開発する過程で足並みを揃えたことが全体の進捗を予定より2、3カ月早め、Exynos 980搭載製品の年内発売を可能にしたと述べた。vivoのチップテクノロジープランニングセンターの李浩栄シニアディレクターによると、両社は約10カ月の共同開発期間中、ハードウエア面の技術的問題100余りを解決したという。
スマホの均質化が進む中、部品をサプライヤーと共同開発したり、オーダーメードしたりすることは製品開発のテンポを掌握し、他社との差別化を図る上での常套手段となっている。ファーウェイの場合、傘下のハイシリコン(HiSilicon)がSoC「Kirin」を自主開発しているほか、ソニーとはIMX600センサーを共同開発している。小米(シャオミ)はサムスンと1億画素のイメージセンサーを、vivoは「匯頂科技(Goodix Technology)」とディスプレー指紋認証を共同開発し、中国の新興スマホメーカー「魅族(MEIZU)」の対称性の高い全面ディスプレイはサムスンが製造している。
5Gベースバンドチップ(モデム)を自主開発する半導体メーカーは現在、世界でもファーウェイ、クアルコム、サムスン、メディアテック、「紫光展鋭(Unisoc、旧社名:スプレッドトラム」のみとなっている。シャオミは「澎湃 S1」の発表以降、大きな動きを見せていない。米アップルは米インテルのモデム部門を買収したものの、今のところ自社の「A」シリーズSoC用の5Gベースバンドモデムチップの開発には至っていない。vivoやOPPOといったチップを自主開発する能力のないメーカーがチップ関連で製品の差別化や競争力の向上を図ろうとした場合、チップメーカーと提携し、必要なチップを事前に開発するのが最も現実的な選択になるだろう。
vivoは12月に発売を予定している「X30 5G」で5G対応スマホを巡る競争に参入する。ファーウェイのサブブランド「honor(栄耀)」からは「honor V30」が、OPPO(オッポ)からはクアルコム社製のチップを搭載した新機種が、シャオミのサブブランド「紅米(Redmi)」からは「Redmi K30」の発売が予定されている。ファーウェイ、シャオミ、OPPO、vivoの4社から、それぞれ異なるチップメーカーの5Gモデム内蔵SoCを採用した5Gデュアルモードスマホが出揃う見通しだ。
すでに販売されている5Gデュアルモードスマホはファーウェイの「Mate 30 5G」のみだが、5G対応スマホを巡る競争はかなり前から始まっており、スマホメーカーのみならずチップ開発を手がけるサプライヤーも参入してきている。
(翻訳・田村広子)
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