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日産自動車のカルロス・ゴーン前会長が金融商品取引法違反の容疑などで逮捕されて以降、ルノー・日産・三菱アライアンスの関係は冷え込んだ。とはいえ、一連の対立を経て、現在では徐々に関係回復の方向に向かっている。
海外メディアは、ルノー、日産、三菱自動車が次世代型電気自動車(EV)の共通プラットフォームを開発する合弁会社の設立に関して合意に達しており、同計画は3社連合の今後における最重要任務の一つであると関係筋の話として報じた。新会社では3社から選抜された技術者がAI技術などに関する研究開発を進めるという。
グローバル市場での需要が減少するなか、自動車メーカー各社は相互協力により開発コストを分担することで、EVへのモデルチェンジに伴う課題に対処できる。ゴーン事件の後、3社連合の計画は棚上げされていた。このほか、3社からは内紛のうわさが絶えず、FCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)がこれに乗じて経営統合をルノーに持ちかけたことで、ルノー、日産、三菱自動車の関係はさらに複雑化した。これ以降も、幹部の離職や人事関連のニュースが立て続けに報じられてきた。
提携関係が崩れ、日仏連合が存続の危機にひんした結果、3社の自動車販売台数と利益は落ち込んでいる。あるデータによると、2019年上半期のアライアンス全体の販売台数は6%前後減少しており、そのうち日本および米国、欧州など主要市場における日産の販売台数でも減少がみられ、上半期の営業利益は前年同期比で85%の減少となったという。
3社は現在、ことの重大さを意識し、関係修復に前向きに取り組んでいる。
ゴーン事件による負の影響を取り払うため、日産とルノーは相次いでCEOの交代に踏み切った。三社はさらにアライアンス事務局長を任命する計画であるほか、3月に設立が発表されたアライアンスオペレーティングボードの月例会議を復活させ、連合の協力を再始動させる。ある海外メディアの報道によれば、3社連合の開発担当幹部のハディ・ザブリット氏が事務局長に選任された。
日産は先月末、全世界で展開する新たな生産技術コンセプト「ニッサン・インテリジェント・ファクトリー」を発表し、今後はルノーと三菱の生産体系にも導入するほか、日産とルノーは自動車のシャシーとエンジンの開発部門および部品などの供給部門を合併するという。まさに3社連合の再出発といえよう。
とはいえ、連合関係が正常な軌道に戻る一方で、他の自動車メーカーの統合も進んでいる。FCAはルノーとの統合提案を撤回した後、プジョーやシトロエンを抱える仏PSAグループとの合併で合意し、世界4位の自動車メーカーが誕生した。また今年年初にはフォルクスワーゲンとフォードが商用車、ピックアップトラック、自動運転、EV、カーシェアリング分野での提携を発表したほか、ダイムラーとBMWもモビリティサービスに10億ユーロ(約1200億円)を投じる計画を発表している。
日産・ルノー・三菱自動車3社連合がカリスマ的リーダーを失った今、起死回生は実現するだろうか。前途多難であることは間違いない。
(翻訳・神部明果)
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