使いやすく、より安く 中国国産の産業用ロボット開発「如本科技」、1兆円に迫る市場で普及目指す

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ロボットを複雑かつ変動の多い作業工程を必要とする産業――家電製造、建設、飲食、医療、物流などに導入する際にはいくつかの障害を伴う。ロボットを稼働させるアルゴリズム技術が遅れていれば、複雑かつ動きの多い作業には耐えられない。さらに測量や測位など精度を求められる場合には、コストパフォーマンスに優れたマシンビジョン製品を見つけることが難しい。

現段階ではティーチングがその解決方法になるが、高精度の視覚作業に従事させるには、海外製の高額な設備を導入するほかない。さもなければマンパワーを動員することになる。

2018年に創業した「如本科技(RVBUST)」は、視覚センシングやモーションプランニング関連製品の開発・製造・販売を行う企業だ。視覚センシング、モーションプランニングをかけ合わせ、ロボットの使いやすさを大幅に改善した。今年8月には以下の3製品を発表している。

一つ目は「RVC X 3Dカメラ」。従来の工業現場で用いられてきた2Dカメラは複雑な物体のパターン認識や測量の面で難点を抱えていたが、同製品はナノレベルの精度でこれを解決する。高精度モードでの点群データ合成速度は最大5fps、0.1ミリレベルの精度なら最大15fpsに達する。作業範囲や視野が適宜調節でき、1台で多用途に使えるフレキシブルさを有する。

「RVC X」シリーズの3Dカメラ

二つ目は「視覚変位分析器(VDA)」。高精度かつ非接触で物体の変形や変位を計測する。高速鉄道での活用例では、線路の振動幅や沈下をリアルタイムでモニタリングし、その精度の高さで人的コストを大幅に削減した。他にも工事測量、公共交通、材料力学など幅広い分野で活用される。

三つ目はロボットのモーションプランニング制御器。市場に流通する主要ロボット製品の付属コントローラーと高度に協調し、精確かつ機敏な軌道制御を実行するとともに、開発者向けに使いやすく統一されたインターフェースを提供する。このコントローラーと視覚センシング技術を基盤としてモーションプランニングのアルゴリズムを開発すれば、ロボットが自動でモーショントラッキングを行うようになるため、ロボット導入への障壁が大幅に下げられる。

中国電子学会(CIE)が発表した「中国ロボット産業発展報告2019」によると、中国のロボット市場は今年、86億8000万ドル(約9400億円)規模に達した。現時点で導入と標準化が進んでいるのは主に自動車製造業であり、他分野では普及が遅れている。中国の産業研究機関「前瞻産業研究院(Qianzhan Industry Research Institute)」によると、中国の完成車メーカーおよび自動車部品メーカー向けに昨年販売された産業用ロボットは5万3955台で、家電メーカーの4930台、食品メーカーの2640台と比較しても群を抜いている。将来的にアルゴリズムやマシンビジョン技術が進化すれば、家電、建設、飲食、医療など多くの分野で活用されるようになるとみられる。

マシンビジョン関連製品では、海外メーカーが圧倒的に優勢だ。前瞻産業研究院の調べでは、2011~2017年、中国のマシンビジョン産業の市場規模は10億8000万元(約170億円)から80億元(約1200億円)に伸び、年平均成長率は40%に迫った。こうした中、中国ではコア部品の国産化を進める動きが続いていることや、特定分野に限っては国内のイノベーション型企業が優位性を握る現状は注目に値する。

如本科技の取引先は「華建集団(ARCHINA)」「中国建築(China State Construction Engineering)」「中華電力集団(CLP Group)」「ABBグループ」「東風日産乗用車」など。同社の中核メンバーはコンピュータービジョン、ロボット、工学分野の専門家で固められ、従業員の8割以上が研究人員だ。昨年はじめにはエンジェルラウンドで「高榕資本(Gaorong Capital)」から数百万ドルを調達している。(翻訳・愛玉)

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