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次世代の電動水上バイクを開発する中国スタートアップ「安瀾動力科技(Anlan Power Technology)」はこのほど、エンジェルラウンドで清水湾二期基金から数百万元(数千万円)を調達した。資金はフルスケール試作機の開発・改良に充てられる。
安瀾動力は2024年5月設立。「より安全で、よりスマート、より環境に優しい水上体験の創出」を掲げ、電動水上バイクの開発に注力している。創業者で最高経営責任者(CEO)の李安氏は、15年以上にわたって船舶設計と製造に携わり、船舶向け電気駆動システムを手がける逸動科技(ePropulsion Technology)での勤務経験もある。
現在、世界の水上バイク市場は上位3社が圧倒的なシェアを握っている。全米船舶製造者協会(NMMA)などのデータによると、2023年の世界販売台数は約17万台、市場規模は25億ドル(約3,800億円)に達した。ガソリン駆動の従来型モデルを展開するボンバルディア(BRP)、ヤマハ発動機、川崎重工業の3社が、成熟した技術力と販売網を背景に市場を席巻し、シェアは合計95%に上る。
とはいえ、従来型のガソリン駆動モデルは燃料費や維持費が高く、騒音・排出・安全面で課題を抱える。一方で、電動化とスマート化の波は海上モビリティにも押し寄せており、静音性・環境性能・操作支援機能を備えた電動水上バイクは新たな市場転換の契機となりつつある。
安瀾動力の初代製品「ANAVI」は、出力70キロワット(kW)の電気駆動システムと容量30キロワット時(kWh)のバッテリーパックを搭載し、最高時速110キロ、最大航続距離80キロに達する。航行時の騒音は65デシベル以下で、廃油で水を汚す心配もない。
船体には軽量カーボンファイバーを採用し、ウォータージェット推進技術を組み合わせることでより強く、より軽くなり、年間のメンテナンスコストを1000ドル(約15万円)以上節約できるという。
安瀾動力は、EV業界で培われた高出力モーターやスマート制御技術を水上モビリティに応用し、ユーザー体験とコストパフォーマンスの両立を図る。
ハードウエアやスマートシステムの開発をめぐり、中国の自動車部品メーカー数社と提携。ANAVIは、障害物の自動回避やアクティブブレーキ、電動パワーステアリング、航行時の姿勢制御などレベル2の自動運転機能を備える。落水時の自動帰還機能や自動停泊機能も搭載するなど、高い安全性を確保している。
また、スマートコネクテッドシステムを通じ、スマートフォンから遠隔操作や位置特定、船体の状態把握ができるほか、ネット経由でソフトウエアをアップデートする「オーバー・ジ・エア(OTA)」にも対応する。さらに、スマートキーやモーター異常を知らせる警告機能、モーターを逆回転させて異物を除去する機能なども搭載し、使いやすさや故障率の低減を実現した。
同社は米国やカナダ、欧州などのハイエンド市場を中心としつつ、中国や中東、南米などの新興市場にも参入する計画だ。2026年に高性能モデルの発売と海外向けの小規模出荷開始を予定している。
すでにPoC(概念実証)試作機の検証を終え、電動推進システムの実寸大試作機によるテストも完了しており、現在はDVT(設計検証テスト)用試作機の開発・改良を進め、中国国内での初期ユーザー検証を目指している。
*1元=約21円、1ドル=約153円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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