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中国のペロブスカイト太陽電池メーカー「炎和科技(Yanhe Technology)」はこのほど、東方嘉富(Orient Renaissance Capital)が主導するシリーズAで1億元(約20億円)超の資金調達を実施した。資金は量産ラインの建設やグローバル市場の開拓などに充てられる。
100MW規模の生産ライン、8月稼働
2024年2月設立の炎和科技は、ペロブスカイト太陽電池モジュールおよび関連機器の開発・生産に特化し、電池部品の安定性や太陽電池の変換効率、費用対効果の向上に取り組んでいる。製品は消費者向け電子機器、ウェアラブルデバイス、スマートホーム、ポータブル電源、車載用太陽電池などに活用されている。
2025年8月には湖南省常徳市で100メガワット(MW)規模の自動化生産ラインが稼働し、年中無休の生産体制を確立した。2026年には500MW規模の生産ラインも竣工する予定だ。同社の馮凡CEOによると、現在の良品率は90%前後だが、今後は98%を目指すという。
ペロブスカイト太陽電池は理論上の変換効率が33%と、シリコン太陽電池の29.4%を大きく上回る。柔軟で自在に折り曲げられる特性を持ち、さまざまな製品の表面やディスプレー、筐体などに組み込むことが可能だ。また、室内光などの弱い光でも発電するため、スマートデバイスへの応用範囲が広がる。
リモコンやAIグラスに搭載
炎和科技は現在、消費者向け市場に照準を合わせて事業を展開している。馮CEOは「消費者向け市場は発電所向けに比べると規模は小さいが、IoTやAIの普及に伴う電力消費の拡大により、家庭用・携帯用の太陽電池搭載製品は今後、急速に普及する」と語る。
同社のペロブスカイト太陽電池は、スマートドアロック、温湿度センサー、リモコンなどのスマートホーム機器、スマートウォッチやAIグラス、スマートリングといったウェアラブルデバイス、さらに電子棚札やマウスなどのデジタル製品に利用されている。
たとえば、同社の太陽電池を搭載したスマートドアロックは、照明の光を数十秒浴びるだけで動作に必要な電力を充電できる。また、あるメーカーと共同開発中のAIグラスでは、連続使用時間が従来製品の6時間から10時間に延長され、ユーザー体験が大幅に向上したという。
変換効率・量産性で優位
アモルファス(非晶質)シリコン太陽電池や有機薄膜太陽電池(OPV)と比べ、炎和科技のペロブスカイト太陽電池は変換効率と量産性の両面で優位にある。「これが多くの企業に選ばれる理由だ」と馮CEOは強調する。すでに1000万元(約2億円)規模の受注を獲得しており、スマートホーム大手や消費者向け電子機器大手と共同でペットトラッカーや煙感知式火災警報器、リモコンなどを開発中。2026年にも量産・出荷段階に入る見込みだという。
現在は単接合型のペロブスカイト太陽電池が中心で、使用寿命は10年を超える。硬質タイプは室内用途、柔軟タイプはベランダ用ソーラーパネルやポータブル電源など屋外製品向けに展開している。また、タンデム型製品の開発と小規模テストを進めている最中で、3〜5年以内にモデルケースとなる発電所を建設する計画だ。
すでに海外子会社も設立し、欧米市場を中心に顧客網の構築を進めている。今後は海外企業や国内製造パートナーとの提携強化を通じて、グローバル展開を加速させる方針だ。
*1元=約21円で計算しています。
(翻訳・田村広子)
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