「運転支援=自動運転」誤解に歯止めーー中国が運転支援機能の国家標準策定へ、ドライバー監視を強化

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中国で自動車のスマート化が進むにつれて、先進運転支援機能(ADAS)の利用も拡大している。ACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)やLKA(レーン・キーピング・アシスト)などが広く搭載されるようになったが、自動車メーカーごとに仕組みや名称、機能は大きく異なっている。販売時の説明で「運転支援」を「自動運転」と言い換えてしまうことも多く、誤用と事故のリスクが高まるのに伴い、明確な安全基準と統一規則を求める声が相次いでいる。

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こうしたことから中国工業情報化部は9月17日、強制性国家標準「インテリジェント・コクテッド・ビークル複合運転支援機能システムの安全要求(意見募集稿)」(以下、「要求」)を発表、11月15日まで意見公募を実施する。同時に公表された解説では、複合運転支援システムの適用範囲が広く、注目度も高いことから、できる限り早く強制性を持つシステムの安全基準を策定する必要があるとした。

自動運転レベル2に当たる複合運転支援機能について、「要求」では主に下記6点の基準を示した。

1.自動運転システムのレベルを明確に区分し、複合運転支援機能は自動運転システムに該当せず、ドライバーが運転に対して最終責任を負う。

2.複合運転支援システムのレベルを明確に区分し、各レベルに応じた安全要件と走行環境条件(ODD)の制限を設ける。

3.複合運転支援システム安全検証試験の要件と方法を明確にし、判定基準を統一する。

4.乗用車と商用車の複合運転支援システムの要件は同一とし、車種の違いによる基準の緩和はしない。

5.運行期間中の事故判定とデータ分析の根拠を明確にし、追跡と責任の所在を明確化する。

6.ドライバーが適正に複合運転支援システムを使用すべきことを明確にし、誤解や濫用を防ぐ。

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ドライバー監視を強化、違反検知から30分間システムの使用を禁止

新たな国家標準では複合運転支援システムの安全な運用に関して、使用説明やドライバー教育、ドライバーの状態監視、システムの使用禁止など安全要件を示すことで、ドライバーのシステム誤用を減らす。

ドライバー教育については、説明書にシステムの分類、機能および限界など最低限の内容を含め、ドライバーがシステムの使用訓練を受けたかどうかをシステムが判別できるようにすることを義務づけている。

ドライバーの状態監視については、ドライバーがハンドルから手を離すと5秒以内に、手をハンドルに戻すようリクエストが発出され、リクエストから10秒以内に警告レベルを引き上げる。

新たな国家標準に示されるドライバー監視

ドライバーの視線については、視線が前方から離れると5秒以内に、前方を注視するよう視線回帰リクエストを発出し、リクエストから3秒以内に警告レベルを引き上げ、さらに5秒経過すると即時操作警告が発せられる。

また、ドライバーが頻繁に運転操作を怠り、長時間にわたる不適切な使用でリスクが高まるのを防止するため、ドライバーの操作放棄によりリスク回避措置が取られるか、あるいは手を放す行為や視線の逸脱が一定回数に達した場合、複合運転支援システムの機能を少なくとも30分間停止する。

このように、リクエストからレベル引き上げ、警告、使用禁止と段階を経ることで、人為的リスクを根本から管理するとともに、自動運転レベル2は運転の「補助」であり、運転を「代行」するシステムではないということを常にドライバーに意識させる。

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強制性国家標準の導入は、自動運転技術の進化にブレーキをかけるというより、より明確で頑丈な「ガードレール」で量産型運転支援システムを保護するものだ。速度と安全を両立させることこそ、インテリジェント・ビークルの普及と成熟の鍵となる。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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