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2019年12月12日、IT大手「バイドゥ(百度)」はスマートスピーカー「小度(Xiaodu)」の新製品を発表した。これまで常に補助金によって定価より安く販売していたが、今回は補助金をなくしている。
当時補助金の効果ははっきりと出た。バイドゥは「アリババ(阿里巴巴)」より半年遅くスマートスピーカーを発表したが、補助金と音声認識の精度が比較的よいことから、シェアを急速に伸ばし、アリババとの差を縮めている。2019年第3四半期のシェアの伸びは対前年比290%となった。
補助金をなくした場合、スマートスピーカーは売れるのか。このことについて、バイドゥ副総裁、スマートリビング事業群総経理の景鯤氏に話を伺った。以下がその抜粋である。
ーーバイドゥのスマートスピーカーのユーザー像を教えてください。
「現在比率が最も高いのは子供のいる世帯で、全体の50−60%を占める。祖父母と同居している場合が多く、もっともアクティブなユーザーでもある。」
ーーでは、このようなユーザー向けの機能やアプリの提供しているのでしょうか。
「ユーザーとコンテンツを提供するパートナーの両方からのフィードバックによって調整している。子供のいる世帯は子供が誤った使い方をしないように使用制限を希望している。また教育コンテンツへのニーズが高い。」
「パートナー、とりわけオンライン教育事業者は新規顧客獲得が課題なため、スマートスピーカーに自分たちのコンテンツを入れたいと考えている。これによりユーザーとパートナーのニーズがマッチする。」
ーーバイドゥはパートナーとどのように収益を分配していますか。
「iOSやAndroidのようなプラットフォームと似ているが、決まった分配比率があるわけではない。我々はパートナーの顧客獲得コストが下がるように支援し、下がった分から少し分けていただく形だ。」
ーー新製品はなぜ補助金がなくなったのでしょうか。
「業界が成熟してきたからだ。製品の価値が十分に浸透していないときは、価格がネックになるが、ユーザーが製品の価値を理解してくれれば、価格はネックでなくなる。」
「バイドゥのディスプレイ付きスマートスピーカーの価値はより一層明確になってきている。業界全体としても補助金をなくしていくのが健全だ。」
「当社のディスプレイ付きスマートスピーカーは599元で、動画サイトの3ヶ月分の会員が無料で付く。これもある意味補助金であり、我々は今後コンテンツのほうに補助金を提供していきたい。」
ーー現在の価格はコストを回収できるでしょうか。
「ほぼトントンだ。」
ーースマートスピーカーのビジネスモデルに対する展望はいかがですか。
「楽観的だ。ユーザーは良質なコンテンツならお金を払ってもいいと思っていることに我々は気がついた。現在のビジネスモデルは両端をつなぐものだ。ユーザーには製品とコンテンツの代金を支払ってもらい、パートナーには顧客獲得のコストを下げるサポートを提供する。」
ーーこのビジネスモデルによる売上高の規模は拡大しているのでしょうか。
「金額をお話することはできないが、成長が非常に速いことは確かだ。教育コンテンツのパートナーのなかには、スマートスピーカーによる売上高がスマートフォンを超えたのもある。」
ーー財務データを見ると、最近のバイドゥの売上高は伸び悩んでいます。そしてAIやハードデバイスはお金のかかるビジネスです。これはバイドゥがスマートスピーカーに投下する予算に影響しますか。
「現在の景気によるプレッシャーはバイドゥ一社のものではなく、上場企業すべてに言えることだ。しかも今後これが通常状態になるだろう。そうなると、お金のかかるイノベーション事業にとってはチャレンジとなる。成熟した事業でイノベーション事業を支援することも必要になるだろう。」
「それでもイノベーション事業は大企業にとって重要だ。私はイノベーション事業の責任者であり、事業全体をより健全なものにしていくのが責務だと考えている。」
「補助金をいつまでも出し続けていては、ビジネスモデルがいずれ行き詰まる。製品の価値を発信し、より多くのコンテンツやアプリを提供し、ユーザーにその価値を認めてもらい、定価を受け入れてもらう。これが健全なビジネスモデルだ。」
「そうなればより多くの試みができる。したがって、ビジネスモデルを健全にすることが、現在より注目されているのだ。」
(画像はバイドゥの提供による)
(翻訳:小六)
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