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インドの統計データによると、2019年9月時点で、同国のGDPの伸び率は4.5%に減速し、2013年以降最低水準となった。また、一人あたりのGDPは2000ドル(約22万円)とのこと。
それでも、2019年のインドのVCには熱気があった。海外からの資金が持続的に流入し、ユニコーン企業が最も多く誕生した年となった。現在のインドの状況は15年前の中国と酷似しているとも言われているが、果たして中国と同様に爆発的な成長を実現できるだろうか。
資本市場の変化
1. IPO以外にもイグジットの道
2018年のウォルマートによるインドのECプラットフォーム「Flipkart」の買収は、VCがインドで初めてキャッシュで企業の売却益を獲得した事例となった。2019年には、OYOの創設者Ritesh Agarwal氏が20億ドル(約220億円)で出資者から株式を一部買い戻した。
上記のように、インドでのイグジットの選択肢が増えている。今後はより多くのイグジット事例で、安定した収益が提供できることを証明する必要がある。
2. VCは成熟しており、グローバル化に優位性あり
東南アジアと異なり、インド市場には初期から海外のVCが参入しており、彼らはインドにより広い視野を提供した。
自国の膨大なマーケットのほか、インドはITと言語でも優位性を持つ。そのため企業向けSaaSでは非常に急速に成長している。また、ドル建てファンドが出資することが多いため、今後は、インド企業が海外でIPOするチャンスも多いと見られる。現時点では、インド企業は国内でしか上場できないと規定されている。
3. 評価額にバブルも短期間内に大幅な調整はない
インドのB2C事業の成長にはまだ観察が必要だが、企業向けにはすでに全世界にサービスを提供しており、中小企業の数も膨大なため、VCの熱は冷めていない。
投資家は自信を持っているが、イグジットの事例が少ないため、インド市場は東南アジア市場ほど明確に今後を展望することができないが、大幅な調整はないと見られている。
政策
1. EC法や越境EC税で自国の中小小売事業者を保護
インドには6000万以上の中小企業があるが、ECは海外の2大巨頭アマゾンとウォルマートが独占している。他国同様、こうした状態は公正な競争を阻害している。
2019年初頭、インド政府は厳しいEC法を発布し、EC大手が自社在庫を持ち商品を販売するのではなく、マーケットプレイスモデルにシフトするように誘導している。こうした手法で競争を促進する狙いだ。
また、2019年には越境ECに課税するための法改正を試みる動きも見られ、税率は最高で50%近くになり、購入者が負担することになるようだという。これも海外の越境ECが現地のECに影響を与えているためだ。製造業を国内に留めておきたいという思惑もある。
人気な投資先
1. B2B -グローバル企業向けソリューション
インドではB2B市場の収益性が最も高い。同国は人材と資金力に強みがあり、企業向けソリューションを提供する企業の年間経常収益も安定している。2019年に誕生したユニコーン企業7社のうち、「Druva」と「Icertis」の2社がこの分野だ。
2. 中小事業者のオンライン化を支援
2019年、物流面で中小小売事業者をサポートする企業が大量に誕生し、EC大手も街なかの家族経営の店と提携するようになった。配車大手の「オラ(Ola)」とフードデリバリーサービスの「Swiggy」も配送事業に参入している。
顧客獲得においては、ソーシャルコマースが台頭しはじめ、インド最大のソーシャルコマースプラットフォーム「Meesho」が2019年に1.25億ドル(約140億円)のシリーズDでの資金調達を行った。
中小事業者にとっての好材料として、インドがデジタルインフラの向上に注力していることも挙げられる。インターネット回線の利用料金を下げ、オンライン決済のインターフェイスを提供するなどし、中小事業者のオンライン化をサポートしている。
3. オンライン教育市場
オンライン教育において、有料でも利用したいユーザーはインドではまだ少ない。しかし、それでも同国のオンライン教育市場規模は中国に次いで世界第2位である。この分野で最も有名なのは「Byju’s」社だが、同社は現在成長の限界が見え始めており、今後サービスの改善と価格調整でより多くのユーザーを獲得できるかが鍵となる。
画像はSyuhaimahより。
(翻訳:小六)
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