内陸都市で水産物販売を手掛ける「海里小怪獣」 コンビニ方式やデリバリーで集客へ

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中国農業部と国家統計局のデータによると、中国の水産物の市場規模は2018年に2兆4000億元(約38兆円)に上った。同年の消費量は約2815万トンで、2027年までに3136万トンに達する見通しだという。ただ、その大半が冷凍品というのが現状だ。

水産物は淡水産物と海産物の2つに大きく分けられる。中国の市場調査会社「智研咨詢(Intelligence Research Group)」のリポートによると、2018年の中国の海産加工品のうち冷凍品が全体の70.24%を占めている。水産物の中でも、特に生鮮魚介類市場は巨大な成長ポテンシャルを秘めている。

36Krはこのほど、内陸都市で水産物の小売りを手掛ける「海里小怪獣(Haili Xiaoguaishou)」を取材した。水産物を地域コミュニティまで配送し、コンビニエンスストア方式で販売することから始まった企業だ。

同社は水産物を専門に手掛ける生鮮小売りで、淡水産物から海産物まで幅広く取り扱う。魚、エビ、貝、カニなど活魚は40種類以上、冷凍水産物は60品目以上に上り、「見える化」された厨房と調理加工サービスを提供している。

海里小怪獣の共同創業者、張淼氏によれば、起業の狙いは次の2点だという。
1、コンビニ形式で地域コミュニティ周辺に店舗を出し、便利に買い物がしたいというニーズに応える。
2、厨房で無料で魚を捌いたり、有料で調理加工したりするサービスを提供することで、ユーザーエクスペリエンス向上させる。

同社が事業を立ち上げた河南省鄭州市は内陸の都市でありながら、海産物の需要が高い。ニュースアプリ「今日頭条(Jinri Toutiao)」の提供する「頭条指数(Toutiao Index)」のデータによると、河南省の人が好む料理ジャンルの第2位に海産物が入るという(河南料理を除く)。海産物から地域コミュニティにアプローチした理由について、「差別化を図るため」と張氏は答える。地域コミュニティの生鮮市場では、野菜や果実などのカテゴリーは競争が激しいが、水産物は競争の少ない空白市場であり、粗利益率は40%~70%程に上る。

同社は中国国内の代表的な港湾と提携して水産物の供給を行っている。ザリガニや上海蟹など売れ行きの良い水産物を産地直送とし、内陸部にある7省主要7都市の水産物市場に中継所を設けている。水産物と地域コミュニティの消費者を直接結び付けることで、流通経路を短縮したい考えだ。

同社の運営方式は大きく次の2つに分けられる。1つは、地域コミュニティに水産物専門のコンビニエンスストアとして出店する方式で、標準的な店舗面積は約60平方メートル。もう1つは、スーパーマーケットにインショップとして出店する方式だ。売場面積は約20平方メートルで、水産物の展示販売、ブランド認知度の向上で集客力アップにつなげる。

同社では、インショップのある各スーパーから1〜2キロの範囲内に地域コミュニティ店を5店舗出店できるとみているが、ユーザーグループの人数が限られ、集客がネックとなることから、同社は次の3つの対策を講じている。

1、生活関連O2Oサービス「美団点評(Meituan Dianping)」やフードデリバリーサービス「餓了麼(Ele.me)」などのオンラインプラットフォームに出店。配送エリアについては、各店舗から500メートル圏内としていたのを3キロ圏内に拡大する。
2、海鮮バーベキュー部門の立ち上げ。
3、ショートビデオやライブ配信、微信(WeChat)グループを通じて会員のアクティブ率向上を図る。

海里小怪獣は現在、鄭州市内で直営店とフランチャイズ店を含め7店舗を運営しており、純利益率は約50%、リピート率は90%に上る。月間購入回数が5〜8回の会員が大半で、客単価は150元(約2400円)、店舗当たりの1日平均売上高は1万元(約16万円)以上、ロス率は3%だという。

同社は年内に鄭州市全域に店舗を展開する計画で、地域コミュニティにコンビニエンスストア50店舗、スーパーマーケット内にインショップ100店舗を出店することを目指すとしている。

海里小怪獣の創業者である金平氏は、シリアルアントレプレナー(連続起業家)で、インターネット業界に16年携わった経験がある。「阿里鉄軍」と呼ばれるアリババグループの中国サプライヤーチームでシニアセールスマネージャーを7年務めたほか、アリババ系のオフィス向け無人販売サービス「果小美(Guoxiaomei)」のパートナーや、買い物代行サービス「UU跑腿(UUPaotui)」のCOOを務めた。

共同創業者の張淼氏は10年にわたるインターネット業界での経験があり、果物専門のO2Oプラットフォーム「水果大叔(uncle fluit)」を設立した経験の持ち主だ。
(翻訳・北村光)

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