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消息筋からの情報によれば、TikTokなどの大人気アプリを運営する「北京字節跳動(バイトダンス)」がIoV(クルマのインターネット)チームを立ち上げ、車載情報・エンタメシステムを開発し、同社傘下のショートムービサービス「抖音(海外版はTikTok)」、ニュースサービス「今日頭条(Toutiao)」などのサービスを車内で利用できることを目指すという。
バイトダンスの公式サイトにもこの事業に関連する求人情報が掲載されており、現在シニアプロダクトマネージャーとシニアビジネスマネージャーを募集している。
バイトダンスは2019年1月にスマートフォンメーカーの「錘子科技(Smartisan Technology)」の特許実施権の一部を買収し、それに伴い錘子科技の社員100人以上がバイトダンスに移籍した。今回のIoV開発チームは元錘子科技社員からなり、約20名のメンバーが在籍している。
インターネット大手のなかで、テンセント、アリババ、バイドゥ(百度)はバイトダンスよりも先にIoV事業に進出している。アリババの傘下には地図情報の「高徳地図(Amap)」、車載システム開発の「斑馬網絡(Banma Network Technology)」、スマートスピーカーの「天猫精霊(Tmall Genie)」など車載向けの製品があり、テンセントはSNSアプリ「WeChat」の車載版をローンチし、アプリ内のミニプログラム、テンセントの音声認識技術、地図サービス、音楽配信サービスなどが一体化したソリューションを提供している。バイドゥは会話式AIオペレーションシステムの「DuerOS」をベースに、車載OSを開発している。
出遅れた格好のバイトダンスは、2019年8月にスマート電気自動車メーカーの「理想汽車(LEADING IDEAL)」のシリーズCでの5.3億ドル(約570億円)の資金調達にコ・インベスターとして参加し、3000万ドル(約32億円)を出資。それを機にバイトダンスの関係者が理想汽車の社内でリサーチするなど、両社の交流が頻繁に行われている。
インターネット大手がIoV事業を手掛ける際、すでに多くのユーザーを獲得しているサービスを足がかりとするのが通例だ。アリババでは高徳地図、テンセントではWeChatがその役割を担う。バイトダンスでは、抖音がそれにあたるだろう。
新型コロナ禍による巣ごもり需要もあり、抖音のDAU(日間アクティブユーザー)は9億弱となり、WeChatに迫る勢いである。うち中国国内のDAUが4.5億、海外版のTik Tokが4億強だ。
しかし、WeChatと比較すると、抖音の車載システムとしての欠点が浮かびあがる。WeChatはプラットホームであり、一つのアカウントで多種多様なサービス・コンテンツを使用できるが、抖音はコンテンツに特化しており、多様なサービスを提供することができない。その上、自動車の走行の安全性に影響する懸念から、ショート動画はそもそも車内でほとんど視聴されない可能性がある。
もちろん、抖音がバイトダンスの唯一の選択肢というわけではない。同社にはクラウド、データ、AIの技術があり、今日頭条やオフィスツールの「飛書(FEISHU、海外版は「Lark」)」、動画配信の「西瓜視頻(Xigua Video)」もある。IoV事業に参入する条件は十分整っていると言える。
バイトダンスや他のインターネット大手にとって課題となるのは、なにを足がかりにするかより、これまでと異なるビジネスモデルをいかに構築するかだ。業界関係者によると、これらの企業はエンドユーザーである自動車オーナーの数の多さに期待を寄せているが、車載システム自体はB2B事業である。B2BはB2Cよりも初期投資が膨大で、長期に渡り低い粗利率と成長率に耐えなければならない可能性もある。B2Cを得意とする企業であるほど、このビジネスモデルの変化にうまく適応できない恐れがある。
(翻訳:小六)
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