国際イベントやテレビ会議で多言語字幕をリアルタイム表示 中国屈指のAI音声認識 活用広がる

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AIを活用した音声認識分野最大手の「科大訊飛(iFLYTEK)」が、大規模な国際カンファレンスでリアルタイム翻訳と自動議事録サービスを提供している。

4月27日、アジア最大級のモバイルインターネットイベント「GMIC 2020(グローバル・モバイル・インターネット・カンファレンス)」が閉幕した。12年の開催歴の中で、今回初めて全プログラムがオンライン中継で提供された。

このイベントで大きな注目を集めたのが、リアルタイム字幕制作サービス「訊飛听見(iFLYREC)」だ。イベント参加者の発言が全てリアルタイムでテキスト化され、中国語と英語の二カ国語で画面上に表示されるというもの。このサービスのおかげで、世界15の国や地域190社から集まった230人のゲストスピーカーをはじめ、各地で視聴する4190万人が言語の壁を感じることなくイベントを楽しむことができた。

GMICでの二カ国語字幕

近年、Googleの年次開発者会議「Google I/O」をはじめトップクラスの国際カンファレンスでは、AIを活用したリアルタイム字幕や同時通訳が主流になっている。今年初めに米国で開催されたゴールデングローブ賞の授賞式では、中国の動画配信サイト「愛奇芸(iQiyi)」が中国国内の視聴者に向けて中国語と英語の字幕を表示しながら中継を行ったが、その際にも訊飛听見の技術が使用されていた。アップルの2019年秋の新製品発表会でも同社の技術が活用された。

アップル新製品発表会でのリアルタイム字幕 訊飛听見と中国動画プラットフォームが連携

AIを活用したリアルタイムのテキスト化や翻訳は、今や大規模イベントの標準仕様になりつつある。訊飛听見の公式データによれば、明瞭な標準中国語をテキスト化する精度は97%以上、ネーティブスピーカーの英語を文字に起こす際の精度は93%以上に達するという。これは全て訊飛听見チームの勤勉な働きにより成し遂げられたものだ。

現在ではスマートフォンで音声入力が可能になり、音声を即座に文字にするという機能を多くのユーザーが体験できるようになった。しかし、参加者多数で雑音環境下にある大型イベントの場合、音声をリアルタイムでテキスト化することはいっそう難度が上がる。

大型イベントでも精度の高い音声認識を実現するため、訊飛听見はリアルタイム字幕サービスを専門特化したワークステーション上に構築し、専用の集音設備やサウンドカードを配置している。ワークステーションはインターネット接続が切れた場合はオフラインで稼動するので、突発的な状況にも対応できる。

また個別のニーズに応じてカスタマイズしたソリューションも提供している。例えば、2019年の国内大型イベントのリハーサル中に、ある大物ゲストの字幕精度が思わしくないことが発覚した。このゲストは話し方に癖があり、AI認識がうまくいかなかったのだ。

字幕の精度を上げるため、訊飛听見チームは主催者側に掛け合ってこのゲストの過去のスピーチ音声を入手し、これをサンプルに音声認識トレーニングを行った。その結果、同ゲストの音声認識精度を15%向上させることに成功した。

話し方やなまり以外に、専門的なカンファレンスで頻出する専門用語もAI認識の精度を大きく低下させる。訊飛听見では専門分野のカンファレンスごとに専門用語集を作成し、専門知識を持つサポートチームを配備することで、認識精度の向上に努めている。

カンファレンス向けのリアルタイム字幕制作や翻訳機能は、オンライン会議サービスにも活用されている。現在、同社の提供するオンライン会議サービスは最大200人とのビデオ通話、マルチデバイス対応など基本的な機能の他に、リアルタイムの中国語・英語二カ国語字幕にも対応している。

加えて訊飛听見のオンライン会議サービスには議事録の自動作成機能があり、会議終了後に参加者の発言をテキスト化して複数デバイスで共有することができる。現時点でサービス利用者は延べ数百万人に上るという。

同サービスは今年1月に開催された第15回上海市人民代表大会第3次会議でも活用され、大量の議事録作成をシステムが肩代わりした。

訊飛听見は信頼の置ける技術と柔軟なカスタマイズサービスを武器に、ロイヤルティーの高いイベント関係のクライアントを増やしてきた。イベント事業ディレクターの国麗氏によれば、そのリピート率は実に95%に達するという。
(翻訳・畠中裕子)

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