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中国スマートフォンメーカーのシャオミが8月26日に発表した2020年第2四半期決算は、売上高が前年同期比3.1%増の535億元(約8200億円)、調整後の純利益は同7.2%減の33億7300万元(約520億円)で、ともに市場予測を上回る好内容となった。
一方で、スマホ出荷台数はマイナス成長、IoT事業の売上高も伸び率が鈍化を続けており、望みのインターネット事業でも目を見張る業績は出せていない。これらは全て、海外で新型コロナウイルス感染症の拡大が続いていることに起因するものだ。とはいえ、どの項目にも大幅な減少は見られないばかりか、全体として市場予想を上回る売上高と利益を維持していることに、シャオミの底力が表れている。
しかも決算報告書からは投資による収入が豊富なことやIoT製品ユーザーの定着率が非常に高いこともわかり、主力事業が振るわない中でも見込み十分であることが読み取れる。
吉と出た投資事業
スマホやIoTの分野で苦戦しているシャオミだが、投資事業は至って好調のようだ。
決算報告書によると、6月30日時点でシャオミが投資した企業は300社以上で、総投資額は前年同期比28.4%増の368億元(約5700億円)だった。第2四半期の投資資産売却益(税引き後)は11億5700万元(約180億円)となっており、これはシャオミの主要3事業における利益の3分の1に匹敵する額だ。
現在、シャオミは四半期ごとに10社前後に投資する形で安定しており、ニュースアプリ「趣頭条(Qutoutiao)」、芸能プロダクション「黒金経紀(BGTalent)」、お笑い系コミュニティアプリ「最右(Zuiyou)」など、多岐にわたる企業に出資している。
シャオミはIoT分野への進出を始めた2013年頃から、エコシステム内の企業へ投資を行うようになる。当初は3~4社の上場を目標に掲げ、エコシステム内企業の株式保有は20~25%にとどめて支配権を持たないことに決めていた。
かなり抑えた投資戦略だが、バランスという点では非常に賢明な戦法だと言える。エコシステム内企業はシャオミからの資金サポートを受けて急成長を遂げることができるうえ、企業としての独立性を保つことができ、双方にとって大きなメリットがあるからだ。
シャオミの投資事業は着実に利益を生み出している。そのため2019年以降、決算報告書の中に税引き後の投資収益という項目が加えられるようになった。
現在では、シャオミのエコシステム内企業のうち上場を果たした企業は当初目標にしていた3~4社をはるかに上回る。持株比率を25%以下に抑えるという方針も転換し、今年5月にはモバイルバッテリーのサプライヤー「紫米(ZMI)」の株式27%を追加取得して、持株比率を49.91%に引き上げた。
シャオミは今や、投資主導型の企業になりつつある。とはいえ、投資はサブ事業に過ぎない。シャオミ自身も投資会社になるつもりはなく、「投資の目的は自社事業を強化するため」と過去に言明している。投資事業がいくら好調でも、結局のところ重要なのは主力事業なのだ。
主力事業挽回の足がかり
ただ、主力事業であるスマートフォンは大苦戦を強いられ、IoT製品やインターネット事業も勢いを失っている。
それでも注力すべき分野がある。決算報告書では以下の3点が報告された。まずシャオミのIoTデバイスを使用しているユーザーに限っては、シャオミ製スマホの保有率が極めて高いということ。次に2019年6月末日時点のIoT製品ユーザーについて、接続デバイス数がその後の1年間で平均25%以上も増加していること。そしてシャオミIoTプラットフォームに5台以上のデバイス(スマホ、ノートPCを除く)を接続しているユーザー数が前年同期比63.9%増加したことだ。
つまり、シャオミのIoT製品は他社製スマホユーザーがシャオミ製スマホに乗り換えるきっかけとなっているのだ。またシャオミのIoT製品を使用したユーザーが他のシャオミ製品を購入する比率も非常に高い。もともとシャオミのユーザーは定着率が高いことで知られており、デバイス数も増加を続けている。
このためシャオミが力を注ぐべきは、まず消費者に最初のシャオミ製品を手に取ってもらい、使ってもらうことだ。今四半期にシャオミは自社戦略を「スマホ+IoT」から「スマホ×IoT」へと調整し、スマホとIoTのプラス効果から相乗効果を生み出す乗法へと進化させた。両事業の結びつきは今後さらに強くなることだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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