“紅星”ブランドがEV界に参入、その実態は高価なオールドカー
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また一つ、新エネルギー車の熱狂の中に新たなブランドが参入してきた。6月29日、北京でのモーターショーにて、紅星汽車が電動自動車のニューモデルとそのマーケティング戦略を発表した。その名を「紅星閃閃」という。
「紅星閃閃」は、ホイールベース2,025mm、車幅1,605mmのミニカーサイズ。Smart(訳注:ベンツとスウォッチの共同製造のミニカー)に比べてもまだ小さく、知豆(訳注:中国地場メーカーの2人乗りミニEV)によく似た車体だ。公式発表によると、車体は小さいが車高を高くしており、またツインモーターを搭載した四駆車でもある。これは市場における初めてのA00型純電動SUVと呼ぶにふさわしい、とのことだ。

どうやらこれが後部座席らしい
だが、ただ車高が高いだけでSUVとは呼ぶことはできない。そこで紅星は、普通なら2人乗りでしかないこのミニカーにあろうことか後部座席を詰め込んだ。無理やり「SUV」の体裁を整えたのだ。モーターショーでの試乗体験において、運転席や助手席に座ってみた人はいたものの、後部座席を試そうとした人は皆無だった。なにせ後部座席は球場の椅子のように薄く固く、ヘッドピローもなく真っ平らで、そもそもここに存在していることが疑問なシロモノだったのだ。
スライドがことごとく故障するという珍事で混乱したプレゼンテーションの中、紅星が重ねて強調していたのはその性能とスマート機能だ。62,000kwの出力、トルク最大240Nm、最大走行距離300㎞、車載システムには音声入力ナビ、スマートフォンをリモコンにできるエアコン、3種のテーマが選べる液晶パネルを搭載、などなど。

発表によれば、これが独自の「エイリアンボックス」。実際にはただの奇妙な箱
紅星閃閃X2の販売価格は11万9800元。新エネルギー車に対する補助金を加味すると4万9,800元から6万3,800元ということになる。もし国家や地方自治体からの補助金がなければ、安全検査すら経ていない大昔の車のようなシロモノをフィアットやポロよりも高い値段で買わされる計算になってしまう。
実際には、ミニEVカーの販売を行うのは紅星が初めてなどというわけではなく、知豆や宝駿などにも同様の製品は存在する。このような点から見ても、紅星はまともな販売戦略など持っていないのだろう。
紅星はさらに頭金ゼロでの購入も打ち出しており、同時に15万元の「紅星セット」なる開業プランも発表している。「紅星セット」の内容はコーヒーマシン1台、コンテナ風の屋台が1つ、そして車本体。紅星は「コレさえあれば誰でもカフェを経営する夢が叶う。しかもコーヒーマシンの淹れるコーヒーの味は「なんとかバックス」に勝るとも劣らない」などとのたまっているが、営業許可書も固定住所もなく、どこでどうやってカフェを開業するのか?という説明はなされなかった。
ところで紅星はショー会場で同時に、すでに6つのシェアカー業車と契約を結び終え、閃閃X2をシェアカー市場に投入する予定であることも発表した。
紅星は1960年に成立した歴史ある会社で、キャンピンングカーの生産から始まった。発表会にも白髪のベテラン社員が招かれ、往年の製品が展示され紅星の歴史を宣伝していた。しかし実際には、紅星は2004年、双環汽車に買収されてしまい、さらに2015年には化学工業の会社である多氟多に買収された。紅星は現在、組み立て工場としての価値を持つのみとなっていた。
多氟多化工股份有限公司は紅星の親会社だ。董事長の李世江は登壇時に「多氟多はすでに転換点を迎えている。新エネルギー車も新しい局面だ。多氟多はエネルギー電池を供給できる。紅星は数少ない、電池を生産できる新エネルギー車サプライヤーとなる」と語った。
発表された閃閃X2の走行距離が事実だとすると、少なくとも3万4,000元の購入補助金と、1,100元/1000キロワットの電池に対するエネルギー補助金が得られることになる。
これらのことからわかるのは、X2は消費者に向けた商品などではなく、シェアカー産業との契約と投資を通じて、多氟多が政府からの補助金を受けえるためのものにすぎないということだ。
発表会のラスト、(多氟多の)重役たちとサプライヤーが互いを祝い合い、「バカ売れ間違いなし!」のようなヨタ話を延々と続けていた。舞台上には『紅星閃閃』のテーマ曲なるものが鳴り響き、「偉大なる毛主席と共産党の名のもと、閃閃の紅星は不滅だ!」と笑いあい、記念撮影がしきりに行われていた。