シリコンバレー発中国「Qury」が新たな検索エンジンをリリース、分散したアプリの検索を統合

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モバイルインターネット時代になり、多くのユーザーやコンテンツを抱えるアプリは、人々にとって情報とサービスを得るための重要なツールとなった。とはいえ、アプリのコンテンツ検索機能はアプリごとに行われるため、情報の「ガラパゴス状態」に陥りかねない。そんな中、テンセント(騰訊)が検索エンジン大手「捜狗(Sogou)」を買収し、「TikTok」を手掛けるバイトダンス(字節跳動)が検索アプリ「頭条捜索(Toutiao Search)」をローンチした。いずれも自社のコンテンツプールを生かし、検索をエコシステムの中での重要な情報発信手段としている。

検索エンジンそのものの変化は中小企業にとっては大きなチャンスだ。しかし、米シリコンバレー発のテクノロジースタートアップ企業「北京快睿科技(Qury)」は単なる検索とは別の道を選んだ。アプリの検索入口を統合し、一つのプラットフォームの中でデバイス、アプリを超えて、それぞれのニーズに合わせた検索を可能とした。

同社はAI(人工知能)に基づくモバイルデバイススマート検索エンジン「Qury Search」をリリースし、多くのアプリの中からユーザーが関連コンテンツを捜し出すことをサポートする。

同社の創業メンバーは、グーグル本社の検索中核部門の出身者だ。CEOである鄭偉氏は、グーグルモバイル検索チームの早期メンバーで、カスタマイズ検索、クロスデバイス検索などを担当していた。15年の検索エンジンの研究開発と業務経験を有する。

創業当時、同社ではショッピング関連のアプリを統合していた。数年を経て、カバーするアプリもショッピング関連から映像・音楽、ライフスタイルなど十数種に及び、トータル検索エンジンとなった。リアルタイムでのリコメンド検索も実現し、ユーザーが同じキーワードを入力すると、そのキーワードに基づいた関連候補が表示される。

同大会で講演する鄭CEO

現在はスマホメーカーと提携しスマホ内蔵の検索エンジン機能の開発に注目している。主たる提携相手は海外展開を行っている中国メーカーだ。すでに新興スマホメーカー「魅族(Meizu)」や「360」などの海外版スマホで採用され、HiBoardやデフォルト検索に組み込まれ、多くのユーザーが利用している。このほか、スマホのトップメーカーとの提携も進めている。

鄭CEOによると、同社のオリジナリティーは分散化された検索ロジックを採用したことだ。アプリ自体の検索能力をインテリジェントに学習・統合すると、アプリの開発者がAPI(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)を提供しなくても検索機能を実現できるという。

キーワードを入力するとQuryはユーザーの意図を瞬時に理解し、統合されたアプリの中から検索を行い、マッチング度に基づき検索結果を表示する。ユーザーがすでにインストールしているアプリであれば、アプリ内部をブラウジングする。インストールされていなければ、クラウドアプリの形でコンテンツをユーザーに提供する。それに基づきユーザーは動画を見たり、ショッピングをしたりするなどの操作が可能となる。

現在、Quryは数千に上るアプリをサポートしている。年内にはより多くのアプリをカバーする計画だ。1日あたりのアクティブユーザー数(DAU)も大幅増となる見通しだ。集積方法に関しては、Quryではアプリごとのカスタマイズ化された開発は必要なく、標準化された方法があればこと足りる。同一分野のアプリであれば、短時間でトレーニングを終えることができる。標準化フローのアルゴリズムの最適化を図ることで、検索の精度を向上することが可能だ。

もともとのアプリ自体のビジネスモデルに影響が出るのではないかという質問については、「Quryはアプリごとの検索能力を運用してコンテンツ検索を行っている。アプリ内部のコンテンツ配列を変えることはないので、アプリの広告収入には影響が出ないばかりか、逆にアプリへユーザーを引き入れることができ、新たな販売促進の役割を果たす。中小規模のアプリにとってはメリットのほうが大きい」という。

現時点での収入源は、Qury上での広告のクリック件数、ダウンロード収入と、Quryを通じて商品購入をした後、アプリ側から成果報酬が入るアフィリエイトモデルだ。鄭CEOはサブスクリプションモデルの進展とユーザーの課金が習慣化するにつれて、転換効率と連動したアフィリエイトモデルの割合は増えるとみている。

鄭CEOはこのほど「ファーウェイ(華為科技)開発者大会(HUAWEI Developer Day)」に招待され、「次世代の検索エンジンがもたらすイノベーション体験」をテーマに講演を行い、Quryの開発イノベーションの道のりを紹介した。

今後の計画に関して、Quryの技術はモバイル端末のほかに、IoT(モノのインターネット)におけるスマート検索でも実現可能で、ユーザーも検索過程で個人的な健康管理、運動や娯楽情報を盛り込むことができるようになり、5G時代にはアプリを跨がってのカスタマイズ検索やクロスデバイスのインフォメーションフローが可能となるという。

Quryは2018年、「阿爾法公社(Alpha Startups)」と「豊元資本(Amino Capital)」からエンジェルラウンドで100万ドル(約1億500万円)を調達している。(翻訳:lumu)


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