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TikTokの運営会社バイトダンス(北京字節跳動)傘下の動画プラットフォーム「西瓜視頻(Xigua Video、日本版はBuzz Video)」が、今後の事業の方向性として長さ1~30分の「中尺動画」に力を入れることを発表した。
西瓜視頻の年次イベントで、任利鋒総裁は中尺動画の特徴として長さが1分から30分の横向き動画で、プロが制作するコンテンツ(PGC)であることを挙げた。同社の内部データによると、中国ユーザーの1日当たりの中尺動画視聴時間はすでにショート動画の視聴時間の半分以上にまで増加し、長編動画の2倍に達しているという。中尺動画はニュースアグリゲーター「今日頭条(Toutiao)」やショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」などでも配信されており、抖音では中尺動画の視聴回数が全体の20%を超えるほどだ。
中尺動画はユーザーサイドでは広く利用されているものの、1~30分のコンテンツを大規模に生産する制作者がいないため、西瓜視頻はこの分野に狙いを定めたというわけだ。
方向性が定まった今、バイトダンスはまたもや人々をあっと言わせる行動に出ようとしている。今後1年間に少なくとも20億元(約310億円)を投じて、中尺動画のクリエイターを支援すると発表したのだ。しかもこの補助金に上限はないという。
抖音アプリとも相互に連携させていく考えだ。抖音に横向きモードを追加し、ワンタップで抖音から西瓜視頻にシェアできるようにするという。またバイトダンスが手掛ける動画編集アプリ「剪映(Clipping、日本版は『CapCut』)」を西瓜視頻の公式ツールにし、PC向けのプロ版もリリースする計画だ。
任氏は2020年初めに総裁職に就く前、抖音のプロダクト責任者を務めていた。抖音から西瓜視頻に移った理由について「興奮を誘う新しいチャンスがそこにあったからだ。中尺動画は可能性に満ちており、クリエイターが自身の思いを人々に発信するための手段となり得る」と語っている。
中尺動画は時間や動画のスタイル、クリエイターなどの点でショート動画とは別カテゴリになるため、西瓜視頻は現在ゼロからスタートしている状態だ。抖音時代には経験しなかったような問題にも直面することになる。
「難しいのはユーザーの興味に合わせたレコメンドだ」と任氏は語る。抖音ではオススメ動画が次々に自動再生されるフィードに重点が置かれている。見たくない動画をスルーすることもユーザーの好みを知る手がかりとなるため、アルゴリズムにはユーザーの意向が十分に反映されている。しかし西瓜視頻の場合、ずっと少ないユーザーの行動データをもとにレコメンドを行わなければならず、精度を上げるには膨大なデータが必要となる。
加えて、プラットフォーム上でタイトル、カバー、タグなどより高度な情報を提供する必要があり、タグの検索、構造化処理、検索とレコメンドの連携など、抖音の立ち上げ時には経験しなかった問題も多い。
「中尺動画」という言い回しを大々的に打ち出したのは西瓜視頻だが、この種の動画は大手コンテンツ・プラットフォームで広く活用されている。9月には中国SNS最大手、テンセントのWeChat(微信)の動画専用アカウント「視頻号」が1~30分の動画をアップロードできる機能を追加、10月には中国検索大手バイドゥ(百度)が動画に特化した新アプリ「百度看看」をリリース、Q&Aサイト「知乎(Zhihu)」もトップページに動画コーナーを新設した。人気動画サイト「ビリビリ動画(Bilibili)」に至っては横向き動画の代表格であり、オリジナルか二次創作物かを問わず膨大なコンテンツの蓄えがある。
中尺動画の覇権争いにおいて、トップクリエイターの争奪戦はまず避けられない。ビリビリでゲーム実況を配信していた人気配信者が西瓜視頻へ移籍し、その後またビリビリとの独占契約に戻ったのはその良い例だ。これ以外にも西瓜視頻とビリビリの間では人気配信者を巡って激しい争奪戦が繰り広げられている。
中尺動画のクリエイターに関する西瓜視頻のリポートによれば、2020年8月時点で同社に属するアクティブな動画クリエイターは月間320万人に上り、年初に比べて175%も増加しているという。
(翻訳・畠中裕子)
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