画像認識で広告が大進化 動画に登場した商品、即検索し購入可能に

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画像認識で広告が大進化 動画に登場した商品、即検索し購入可能に

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若者の70%はコンテンツの閲覧や視聴を通じてショッピングへの需要を喚起させている。米コンサル会社ボストン・コンサルティング・グループの調べでこのようなことがわかった。これに呼応するように、Eコマースの世界でもコンテンツ形式の広告が新しいトレンドとなっている。

ライブコマースプラットフォームや画像・動画系SNSの類もコンテンツを通じて消費者の購買意欲を刺激することに注力し、移ろいやすい消費者の心を素早く掴んでいる。一方、短文投稿サイトWeibo(微博)や動画共有プラットフォームなどには収益化が可能なコンテンツが無限に眠っている。しかし、スポット広告のような既存の方法では視聴者には刺さらない。それどころかユーザーの視聴体験をかえって妨げている。

2016年に立ち上げられた「mai(Markable AI)」は、AIを用いたコンテンツ認識技術に特化したソリューションで、コンテンツ広告の配信を最適化するものだ。消費者が画像や動画の閲覧中、コンテンツ内に登場するファッションアイテムに興味を抱いたら、maiの広告プラグインがすぐにコンテンツを認識し自動でマッチングを行い、消費者の需要にかなった商品を表示する。消費者自身が能動的に広告と連動し、なおかつ広告に邪魔されない仕組みだ。

今年発表した新製品「Moment API」は動画認識のAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)で、広告の収益化を支援するものだ。再生後動画広告に対応しており、動画コンテンツ内に登場するファッションアイテムをAIが認識し、自動で商品検索とレコメンデーションを行う。過去に発表した画像認識API「Lens API」も主要ECプラットフォームの商品在庫と連動しており、コンテンツプラットフォームのユーザーにリアルタイムで希望の商品と同一の商品、あるいはデザインの近い商品を探し出してくれる。

Moment APIが用いる技術はコンピュータビジョン分野でも最も難しい認識技術だ。「瞬時に、正確に、複数の物体を認識する」という点において画期的といえる。maiの運営元「Markable」の創業者Joy Tang氏は、現在の市場で出回る大多数の動画広告関連技術はシーン認識技術やマルチフレーム認識技術だが、これらは本質的には静止画認識でくくれるものだと強調する。一方のmaiが手がける動画認識技術はヒトの眼を模倣し、(目に留まった)商品を追跡できる。商品が登場し、消え、再登場するまでの時間を把握し、真の意味で構造化データの認識ができるという。

maiの事業モデルは広告主とコンテンツプラットフォームの間に入って橋渡しを行うものだ。多くの広告主はリスク回避のために成果報酬型の広告を希望するが、プラットフォーム側としてはインプレッション(表示回数)に応じて課金したい。そこでmaiはまずCPM(インプレッション単価)でプラットフォームの広告枠を確保し、コンバージョン率(CVR)を重視する広告主側にはCPS(継続課金型報酬)、CPA(顧客獲得単価)で広告枠を販売する。プラットフォームにも広告主にも利がある方法だ。

maiのソリューションはすでに中国版ツイッターのWeiboや中国版NetflixのiQIYI(愛奇芸)で一部導入されている。さらにタオバオ(淘宝網)、Tmall(天猫)、JD.com(京東)など中国の大手ECプラットフォームや、日本のMARK STYLER、米ファストファッションForever21、英オンラインセレクトショップFARFETCHなど海外のファッション系通販サイトと提携しており、SKUにして2000万以上の商品を扱っている。商品価格は日々更新され、商品の販売中止率は3%以下に留めている。

Tang氏によると、現在のコンバージョン率は1~3%。今年のGMV(流通取引総額)は1000万元(約1億6000万円)以上、営業収益は数百万元(数千万円)を予想している。今後は日本や米国でも事業拡大していく計画だ。

Tang氏はマサチューセッツ工科大学で数学、経済学を専攻。ウォール街で7年間、HFT(高頻度取引)のアルゴリズムエンジニアとして勤め、連続起業家となった。

maiはこれまでに約900万ドル(約9億4000万円)の資金を調達しており、AIスタートアップに特化したソフトバンク系ファンドDEEPCORE(ディープコア)や電通のほか、米VCのFoundersX Ventures、Plug and Play、香港のファミリーオフィスSilas Chouなどが出資している。(翻訳・愛玉)


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