WeChat上のEC運営支援サービス「有賛(youzan)」が3Q決算を発表 提供先事業者のGMVが約1兆1500億円

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モバイルECの開発・運営支援を手がける「有賛(youzan.com)」が11月9日に発表した2020年第3四半期の決算報告によると、売上高は前年同期比65.4%増の13億700万元(約210億円)となり、同社のサービスを利用する事業者のGMV(流通取引総額)は前年同期比90%増の723億元(約1兆1500億円)に達した。また、新規に有料サービスを利用し始めた事業者数は前年比22%増の4万5328社だった。

会社所有者に帰属する損失は、前年同期比31.83%減の約1億7900万元(約30億円)となり、損失は縮小しつつある。売上高の大幅増は、SaaSとその関連サービスの売り上げが増加したことによるものだ。

有賛(以前の企業名は「口袋通」)は2012年11月に杭州で設立され、2014年11月に企業名を有賛へ変更した。主に小売業者向けのSaaSサービスを提供している。EC、ソーシャルマーケティングをサポートし、リピート率の向上、あらゆるチャネルにおけるニューリテール業務開拓を支援する。2019年4月にはテンセント(騰訊)から10億香港ドル(約130億円)、2019年8月にはバイドゥ(百度)から3000万ドル(約30億円)を調達している。

2020年上半期の有賛の決算報告によると、SaaSと関連サービスの伸びによって同社の売上高は、前年同期比62.7%増の8億2500万元(約130億円)に達した。有料サービスを利用する事業者の総数は前年同期比57.7%増の約10万社となった。

決算報告の発表と同時期に、白鴉CEOは全社員へ内部メールを送り、その中で「今年に入り、有賛がサービスを提供する事業者のGMVは1000億元(約1兆6000億円)を超えた。今後も引き続き商品とサービスを充実させ、SaaSを中心としたソリューション企業からデータを活用したスマートビジネス企業への変革を目指す」と述べた。

白鴉CEOの社内メール 画像提供:有賛

同時に白鴉CEOは「投資部」を1つの部門として独立させ、主にエコシステムの提携先、企業サービスパートナー、優良事業者などへ投資を行い、より完成されたビフォア/アフターサービスのエコシステムを構築するとしている。有賛は企業向けサービス市場において、「WeChat効果」を拡大させていくことを目指している。

WeChat効果とはWeChatのように優れた商品が「ネットワーク上での価値」を持ち、それがユーザーにとって取り換えのきかない重要なものになるという意味だ。

同社の今後の戦略について白CEOは「商品技術の蓄積を堅持しつつ、2つの方面へ拡大を目指す。1つは中小事業者向けに敷居の低い低コストのスタンダード商品を提供すること。もう1つは大規模事業者向けにカスタマイズされたより綿密なソリューションを提供することだ」と語っている。

最近プライベートトラフィックが話題となり、WeChatエコシステムに代表されるプライベートトラフィック運営モデルが注目されている。今年8月にテンセントが発表した第2四半期の決算報告では初めて「プライベート」という概念が取り上げられ、事業者にとってのプライベートトラフィックのビジネス価値が強調されている。

有賛はプライベートトラフィックを管理するツールを手掛ける代表的企業として、ECショップ開業、ソーシャルマーケティング、顧客管理などのツールで、事業者がプライベートトラフィックを管理するためのサポートを行い、これによって事業者の取引額増に貢献している。有賛の取引規模が1000億元(約1兆6000億円)を超えたことは、プライベートトラフィックによるECモデルがすでに、京東(JD.com)、拼多多(pinduoduo)などのプラットフォーム型ECモデル以外の新たなビジネスエコシステムとして確立しつつあることを意味する。

有賛によると、中国国内のトップ10の酒造メーカーのうち、7割が有賛のツールを利用してプライベートトラフィックを活用しているとのこと。

また家電大手の「TCL」は有賛のツールを利用し、6万8000人の従業員をセールスプロモーターとして、全社員による販売促進を行っている。今年2月にはソーシャルプロモーションによって2388万元(約3億8000万円)の売り上げを達成し、これは同じ月の全国の家電小売大手「蘇寧」におけるTCLの小売総額の8割に相当した。

有賛のツールは、今年9月に決済サービス「アリペイ(支付宝)」とチャットアプリ「QQ」のミニプログラムとの連携可能になったことに続き、10月にはソーシャルECアプリ「小紅書(RED)」、WeChatの動画投稿用アカウント「視頻号」とも連携可能になった。現在有賛のツールは、WeChat、アリペイ、QQ、バイドゥ、Weibo、小紅書、快手など10あまりのプラットフォームと連携し、そのトラフィックを扱うことが可能となった。

マルチプラットフォームへ対応する理由について有賛の関連マネージャーは、事業者がより多くのビジネスシーンを開拓し、よりニッチな市場をカバーするためだ、と説明する。

またこのマネージャーは「マルチプラットフォームを利用することで、事業者は実店舗やWeChatのエコシステムから顧客を獲得するだけでなく、ユーザー像、ビジネス形態をプラットフォームに合わせて調整し、確実に新しい顧客を取り込んでいくことができる。各プラットフォームで獲得した顧客は、事業者のプライベートトラフィックとして蓄積され、さらに一連のマーケティングツールによって細分化した管理がされ、客単価を最大限まで高めることが可能だ」と説明する。
(翻訳・普洱)

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