引き止められて4年、ついに上海に工場設立、テスラはどのように決着をつけるのか

要約すると:

・テスラは臨港エリアで単独投資による研究開発・製造・販売などの機能を一体化させたテスラのスーパー工場を建設しており、2〜3年後に完成させて50万台の純正電気自動車を生産する予定である。

・この動きは投資家の信頼を高め、テスラの中国で発展するための資源をより取り込み、かつ生産と輸送にかかるコストを削減し、競争力を向上させる。

・これと同時に、中国自動車市場の新車会社にとって、テスラの参入は決して良いことではない。

4年遅れではあるが、テスラの工場はついに中国に根を下ろした。

7月10日、テスラは上海臨港管理委員会及び臨港グループとの契約を締結し、臨港エリアで独自資本による研究開発・製造・販売などの機能を一体化させたテスラのスーパー工場を建設しており、2〜3年後に完成させて50万台の純正電気自動車を生産する予定。これもまた上海の歴史の中で最大の外資生産プロジェクトである。

中国とドイツが合意した一連の自動車産業協力は、金融メディア報道を加熱させ、このニュースは多くの注目を集めた——テスラでさえ、4年近くでテレビの連続ドラマに出てくるような工場を建てた。これは近い将来テスラにとって、最も切実な良いニュースである。世界最大の電気自動車市場で50万台の生産能力を持つ工場を設立することは、テスラ自身の発展にとって非常に大きな意味があるのだ。

第一番目、投資家の信頼をさらに得ることができる。

テスラの株主総会の1ヶ月前、テスラの最高経営責任者(CEO)兼理事長を務めるエルロン・ムスク氏が、すでにこのニュースを発表した。上海工場は“Dreadnought”、すなわち“ドレッドノード(イギリス海軍の戦艦)”と命名され、テスラの電気自動車及びそれに必要なパワーバッテリーも生産する予定である。以前は、テスラのパワーバッテリーはアメリカ・ネバダ州の工場で生産されており、カリフォルニア州フリーモントでModel S / X / 3の三種類が組み立てられていた。

このニュースの影響を受け、テスラの株価は6月初旬に1株当たり294米ドルから373米ドルへ上昇し、その後調整された。ニュースがひと段落したため、アメリカ東部時間7月10日のテスラの株価は1.24%増の終値322.47ドルとなった。

この前段階で、テスラは泥沼状態にあった、生産能力は追い付かず、廃棄率の高さ、メディア攻撃、機関投資の失敗、厳しいキャッシュフローの問題など。そのほか、アメリカ政府による高額な政策補助も施行されたが、テスラの経営困難を巻き返すのは難しい現状にある。

第二番目、世界最大の新エネルギー車市場である中国では、より多くのサポートとリソースを得ることが出来る。

テスラを引きつけ、定着させるため、上海市政府はずっとオープンな態度をとってきた。
2014年、テスラは上海浦東の金橋に落ち着く機会を得た。当時、テスラは単独投資であること、そして製品の登録で登録製品タイプを「自動車製品」ではなく「電子消費製品」とすることの2つの条件を提出した。その後、上海市浦東新区の丁磊副区長は、テスラのグローバル事業セグメントのすべての責任者と話をし、テスラへ非常に有利な投資促進計画を提供した。しかし結局、テスラは「北米の生産能力は依然として十分であり、5年後に中国で工場を建設することを検討してほしい」と回答した。

この一つのミスにより、テスラは生産能力の問題を解決する最善の方法、そして、中国市場に参入するのに最適な時期を逃してしまったのである。しかし現在、テスラの「単独投資」の問題について交渉が長く行われた可能性は非常に高い。

長い間、中国の関連政策の規定では、外国自動車会社が中国で生産をする場合、地場企業と合弁会社を設立する必要があるとしており、中国の株式比率は50%を下回ることはできない。なお合弁事業とは、テスラが技術の一部と利益の大部分を分け合うことを意味し、単独投資を続けることが、テスラが中国に上陸することができない最大の理由となっている。

2018年4月17日、国家発展改革委員会は記者会見で、自動車産業における外国の株式比率規制をすべて段階的に廃止すると発表した。具体的には、2018年には特殊車両と新エネルギー車の外資比率が廃止、2020年には商用車の外国投資制限を解除、2022年には外国人投資制限を解除、2社以下の合弁会社の規制が解除、といったものである。

市場の長期的な自由化は大きな傾向であるが、この政策はある程度の「テスラへの青信号」だと解釈されている。テスラを代表とした新しいエネルギー車に焦点を当てた外国自動車メーカーは、このオープンポリシーの直接的な受益者となるだろう。その後テスラは、中国にスーパー工場を設立する計画を発表した。

5月2日の電話記者会見で、ムスク氏は「中国政府が(外資企業に)完全生産施設を持つことを許可したことを発表したことに非常に感謝している」と述べた。

ムスク氏は、今年テスラがプラスのキャッシュフローを達成すると述べた。一部のアナリストは、テスラが電気セミトレーラー、ピックアップトラック、小型SUVなどの新しいプロジェクトに資金を提供する必要があると考えている。7月10日、上海市政府は声明の中で、これがテスラを助けることになるかもしれないと述べた。さらにこの声明で、上海政府が「テスラ製造工場の建設を完全に支援する」とも述べた。

第三番目、中国市場での製品販売コストを削減し、製品競争力を高められる。

数日前、米国への輸入自動車の関税率に対し40%まで上昇したが、現時点では中国本土への自由貿易地域で生産された電気自動車の販売は、輸入関税を削減することはできない。しかし、テスラが発行した中国価格の計算式によると、中国の価格=アメリカの価格×為替レート+運送手数料+関税やその他税金+付加価値税となり、国内生産後、輸送と手数料の点で、購入税、1台100万元のModel Xは約10万元あまりのコストを節約することが可能である。
このほか、上海の長江デルタ地域では多くの自動車部品企業が集まっており、国内生産後、テスラに関連する調達および輸送費用も削減される。

中国市場は常にテスラにとって大きな魅力を持つ。中国における2017年のテスラの売上高は20億2,700万ドルで、2016年から90%以上増加し、年間全体売上高の約20%を占めている。中国は現在すでにテスラのアメリカ以外での最大の市場である。

現在、北米でのModel 3の価格は35,000ドルで、約23万人民元に相当する。中国の具体的な販売価格は未だ発表されていないが、中国で輸入されるModel 3の価格は35万〜40万元台と推定されているが、もし仮に国内生産することになれば価格が下がり、製品競争力は大幅に向上する。

同時に、中国自動車市場の新車製造企業にとってテスラの参入は決して良いことではない。

現時点では、製品設計からインタラクティブな体験まで、多くの新車製造企業はテスラの“追随者”と決して明言していない。テスラが完全国産化され、人気のモデルを立ち上げたとき、間違いなく多くの企業に衝撃を与えるだろう。

中国で独立工場を設立した最初の自動車会社となったが、テスラが中国の新工場で車を生産を開始出来るようになるには2年かかるとされている。しかし時間が過ぎるこの期間に各企業がどのような「堀」を作れるかどうか、これが生き残っていく鍵となる。

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