アリババ、「RED(小紅書)」と人気レストランランキングを発表 効果には疑問符も

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アリババ、「RED(小紅書)」と人気レストランランキングを発表 効果には疑問符も

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アリババ傘下の生活関連サービスプラットフォーム「餓了麼口碑」が、ソーシャルECの「小紅書(RED)」と共同で人気レストランランキングを発表した。アプリ「口碑」の「ランキング」タブを選択すると、レストランランキングがトップページに表示されるようになっている。

ランキングの狙い

最初のランキングは12月15日に発表されたもので、北京、上海など15都市で都市ごとに順位付けしている。餓了麼口碑によると、ランキングは口コミ評価、注文回数、小紅書ユーザーの推薦記事などから総合的に算出したもので、広告は一切ないという。ランキングは今後、毎日更新される予定だ。

餓了麼口碑は、生活関連サービスのよりきめ細やかな展開を目指し、実際の利用者の声をより反映できる手法を模索している。一方の小紅書は、ショッピング情報の共有が中心だったこれまでのスタイルに加え、生活の各シーンに応じた情報の提供を目指している。このランキング発表は、両社の思惑が一致した結果だ。

アリババの生活関連サービスを統括する「阿里本地服務公司(ALSC)」の王磊総裁は今年、クーポンでトラフィックを獲得し、成長につなげる時代は終わったと語っている。今後はどのプラットフォームが高額クーポンを提供するかの競争ではなく、よりデジタル化の強みを生かした競争になるという。「デジタル化の強み」とは、より消費者の好みを反映した正確なレコメンド、各シーンに応じた提案、そして店舗向けの使いやすいシステムを指すが、その目標がトラフィックの獲得である点では、以前と変わらない。

ランキングだけで十分か

生活関連サービスプラットフォームは複数あるが、餓了麼口碑の最大のライバルである「美団(MEITUAN)」やその傘下の口コミサイト「大衆点評(dianping.com)」も、独自の人気ランキングを打ち出し、トラフィックを集めようとしている。ほかのプラットフォームにも同様のランキングがある。

そこで、餓了麼口碑は違いを出そうと、ユーザーの購買意欲を刺激することに長けた小紅書と提携することを選んだ。小紅書の魅力は、2.5億人超のユーザー数だけではない。同社はソーシャルECという独自の手法を持っており、これに共感するユーザーは、実際の体験に基づき、商品やサービスを記事で紹介する。単なる広告よりも、より生活感のあるこれらの記事によって、小紅書は購買につながる率が高いプラットフォームとして評価されている。

しかし、餓了麼口碑が小紅書と提携すれば万事うまく行くというわけではない。ヤラセ記事、ユーザーの個人情報の流出など、小紅書にもスキャンダルが絶えない。そして、ランキングに名を連ねた店が、いつまでも同じクオリティを保てるとは限らない。今年だけで、口コミサイトのランキング上位だった店が食品安全上の問題で休業に追い込まれる事件が複数発生している。

そのため、餓了麼口碑と小紅書のランキングが、果たして長く魅力的なコンテンツとなるのかは未知数である。最も大事なのは、こうしたランキングやレコメンドによってトラフィックを獲得することではなく、消費者に真に価値のある情報を提供することである。そうすれば、消費者はそれによって実力のある店舗を選べるようになり、その結果業界全体のレベルが上がっていき、プラットフォームの成長にもつながるのだ。この大原則から外れてしまえば、どんなランキングも、絶えず登場する各種ランキングに埋もれてしまうだけだ。

(翻訳:小六)

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