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京東集団(JD.com)の劉強東CEO自ら指揮を執った住宅街(社区、地域コミュニティ)向け共同購入サービス「京喜拼拼(Jingxipinpin)」がついにローンチされた。
京喜拼拼はテンセントのチャットアプリ「WeChat(微信)」のミニプログラム(小程序)として提供されている。京東のサプライチェーンを通して生鮮食品、穀類、油、スナック、日用品、化粧品、衛生用品などを低価格で販売、指定ポイントへ翌日配達するサービスだ。最初にサービスが始まるのは山東省済南市、広東省東莞市、深圳市、広州市、仏山市、四川省成都市、江蘇省南京市、河南省鄭州市の8都市である。
注目に値するのは、京喜拼拼ミニプログラムが住宅街向け共同購入「京喜(Jingxi)」に続き、WeChatから京東のサービスにアクセスできる新たな入口となったことだ。
京東は早くから住宅街向け共同購入サービスを展開してきたIT企業の1つである。2018年には「蛐蛐購(Ququgou)」や「友家舗子(Youjiapuzi)」など多くの住宅街向け共同購入サービスをインキュベートさせてきた。ただ、あいまいな位置付けで内部リソースをまとめきれず、サプライチェーン連携が不十分だったこともあり、これらのプロジェクトのほとんどは京東ビジネスの新しい成長ポイントにはならなかった。
昨年初頭以来、住宅街向け共同購入市場が注目されるようになり、IT大手企業がシェア争奪戦を展開している。生活関連サービス大手「美団(MEITUAN)」、配車サービス最大手「滴滴出行(Didi Chuxing)」、共同購入型ソーシャルEC「拼多多(Pinduoduo)」と比較すると、京東は小売や物流で豊富な経験を持つものの、住宅街向け共同購入への参入は迅速さを欠いていた。昨年11月末になってようやく、劉CEO自ら京東の住宅街向け共同購入チームを指揮するという話が伝えられる。京東は12月11日、7億ドル(約730億円)を投じて住宅街向け共同購入モデルのパイオニア「興盛優選(XINSHENG SELECTED)」の株式を購入、興盛優選の技術やサプライチェーンを活用し住宅街向け共同購入を強化すると発表した。
今回の京喜拼拼のリリースは、京東傘下に散在する共同購入事業を統合することに加えて、同事業が京東の地方市場戦略において重要な部分になったことを示すものだ。
公式発表によると、京東は最近、地方や住宅街向け事業を再組織したという。これまでの京喜事業部は事業グループに格上げされ、京東副総裁の鄭宏彦氏が京喜事業グループ長を兼任、劉CEOの直轄となる。京喜ブランドは、ソーシャルECの京喜アプリ、住宅街向け共同購入ミニプログラム京喜拼拼、地方市場の実店舗向けサービス「京喜通(旧京東新通路)」、および物流サービス「京喜快逓」の4部門で構成される。
昨年、京東の第3四半期決算のオンライン会議で、京東小売部門の徐雷CEOは「多くの企業が生鮮食品ビジネスでアクセスを集めようとしているが、京東は生鮮食品ビジネスをアクセス数頼みの短期的で手っ取り早い販促キャンペーンではなく、サプライチェーンとサービスに基づいた持続可能なビジネスモデルとして確立したい」と述べていた。
住宅街向け共同購入ではダンピングや価格のつり上げ、常連客への割増価格なども問題になっている。中国国家市場監督管理総局は昨年12月末、商務部と共同購入秩序規律行政指導会を共催し、IT企業が住宅街向け共同購入を運営する上で9条からなる具体的な禁止事項を提示した。規制が強まる中、京喜拼拼を発展させるには、販促キャンペーン以外に市場の規範にのっとった新しいモデルを見つけなければならない。
(翻訳:永野倫子)
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