ローカル都市から大都市への快進撃 シェアサイクル Hellobike

かつて、中国のシェアサイクル業界では多くの企業が乱立し競い合っていたが、たった一年にも満たない短い期間で現在の「トップ3競争」の状態に絞り込まれた。

2016年8月を振り返ってみると、この頃のシェアサイクル業界は非常に勢いに乗っており、ofoやmobike、Kuqi Bikeなどシェアサイクル企業のカラフルな自転車を街のいたるところで見かける事ができた。同年9月、哈羅単車(Hellobike)はちょうどシェアサイクル事業に着手することを決定した。そして、その年の11月には主に南京、蘇州、青島などの地方都市や、更に田舎の市街地に集中して事業を展開し、自転車への投資を完成させた。

このころ、一般市民が持つイメージの中で最も際立った存在感を放っていたのは北京や上海などの主要都市を中心に事業を展開していたmobikeとofoだった。シェアサイクル業界におけるこの2トップ企業が持つパワーは非常に強力で、この業界を統一しようという目的のもと二社は協力し合う流れとなった。しかしながら、資本そのものが備え持つ底力は誰もが期待したそのシナリオの範疇を大きく超えてしまった。

その序章として、まず2017年10月、Hellobikeと永安行低碳科技有限公司(Youon Bike)が合併することになった。そして、この後にアリババグループの金融関連会社であるアント・フィナンシャル傘下の完全子会社による多くの資本協力を得ることができた。加えて、「Hellobikeの日毎の受注数は、mobikeとofoの総数を超えた」という最近のマーケットにおける噂により、Hellobikeは更に多くの大衆の注目を集めることになった。

こうなると人々はHellobikeが一体どのようにしてこの競争を勝ち抜いて来たのか、興味を持たずにはいられない。mobikeとofoがスポットライトを浴びていた時、Hellobikeは一体全体どんな活動をしていたのだろうか。そして、どのように地方都市から主要都市への道を開拓してmobikeとofoという手強いライバルに応戦したのだろうか。

潜伏

mobikeとofoが北京や上海などの主要都市において激戦を繰り広げていたとき、Hellobikeは田舎の市街地で地道に事業を展開していた。

Hellobikeに言わせると「これ以上無いほど重要な」西南大区は2017年8月に、また陸続きにある四川省の南充、広元、逐寧、綿陽、成都などの都市でも投資を行なった。シェアサイクルの利用受注数は、1月の100万台から3月の300万台に膨れ上がった。

具体的な都市を挙げると、まず成都において2018年1月に自転車の設置を始めた。この時、ofoやmobike、一歩単車あわせての設置車数は150万台に到達していた。それに対してHellobikeの設置車数は30万台程度だった。

しかしながら、地元の人々の自転車に対する需要は非常に旺盛で、交通手段の要とも言える存在となった。地下鉄の犀浦駅では、営業自転車一台につき毎日平均して15〜20回乗られている。そして、この地域のピーク時の自転車設置台数は2,000〜3,000台に達した。そしてHellobikeは、地方の観光地などにも深く根を下すことになる。

成都の管轄内に位置する、古い街並みの残る5A景区楽平ではHellobikeは二人乗りの観光用自転車を数百台設置した。レンタル費用は1時間につき20元。Hellobikeの華西南大区の責任者である黄琛培氏の話によると、引き続き三人乗り自転車と四人乗り自転車を設置する予定があるそうだ。レンタル費用は、三人乗り自転車が一台につき1時間40元で、四人乗り自転車が一台につき1時間60元かかる。

一般の市街地区に比べると観光地では運営方法も異なる。黄琛培氏の話によると、もし旅行客が景勝地のスタート地点でレンタルサイクルの使用を開始したとして、色々な場所を経由して電子錠のある停車場に施錠するのではなく、道端に停めるかたちで返却したとしたら、レンタルシステムはユーザーから5〜15元の手数料を徴収する。そして、ユーザーは一通のショートメールを受け取る。そのショートメールの内容はこうだ。「この費用は、初めにお客様からお預かりしている初期費用より差し引かせて頂きます」。

もしユーザーが30分以内に戻り、またこの自転車を解錠してもとの停車場に返却すればシステムは自動的にユーザーに手数料を返金する。

また同時に、Hellobikeは地元の村民と経済的に協力し合うという方法を見出した。村が自転車の管理を請け負い、共同運営するのだ。その際、設置自転車に対する出資はHellobikeが請け負い、村は出資費用を負担しない。こうすると自転車が村の中まで乗られてしまうことを防ぐことができる。

この他にも、Hellobikeは地元と協力して”自転車用高速道路”を建設した。ユーザーに多元的な自転車体験をしてもらう為だ。

公式サイトのデータによると、いまのところHellobikeは寧波・杭州・廈門(アモイ)・武漢・南京・長沙・青島などの220都市に進出している。場所としては海辺の砂浜や、山深い観光地や、市街の公園などを含む。Hellobikeは将来、主要都市に進出するほかにも全国的に2,000ヵ所の市区に進出することを狙っている。

異なる都市においての自転車設置について言及すると、Hellobikeの共同創設者であり最高経営責任者の李開遂氏いわく、Hellobikeは意識的に大都市を避けていた訳ではないと言う。主要都市と地方都市は2つの平行な線であり、そのため資源に限りがあることから主要都市への進出を放棄せざる得なかったというのだ。これは王仕平氏の裏付けを得ている。彼は筆者に、主要都市に進出するかどうかについては、当時も内部で散々会議を開き、討論し合ったと話してくれた。

また、Hellobikeに少し休息を取らせたという選択も良かったのかもしれない。李開遂氏は「もし我々が当初から主要都市に進出していたら、現在はblue gogo(2017年11月に倒産した中国のシェアサイクル企業)と同じようになっていただろう」と語る。

Hellobikeはこれまで幾度となく、このように大小様々な選択の機会に直面してきた。Hellobikeの西南大区の責任者である王仕平氏へのインタビューによると、暗証番号を用いるかどうかというような些細な事柄においても会議の議題にのぼったが、最終的には採用され無かったということだ。

結局のところ資本のパワーが大きいのか、あるいは団体のパワーが大きいのかというようなこともHellobikeをいつも困惑させた。最終的にHellobikeは、ただお金をつぎ込めば成功するという考えは単純過ぎるという結論にたどり着いた。シェアサイクル業界が好景気に浮き足立っている中で、Hellobikeがすぐに主要都市への進出を決定しなかったことは幸いだった。Hellobikeは好景気に潜む落とし穴を明確に見抜いていたからだ。しかしながら後々におけるHellobikeの快進撃はほんの少しの突破口がきっかけだった。

野心

北京の街中においてHellobikeについて尋ねてみても、ほとんどの人が利用したことはおろか、その名前すらも知らないという。しかしながら多くの人にまだ認知されていないという事実がかえってHellobike内部の管理層から中下層に至るまで、彼らのその野心を煽ることになった。

2018年5月、アリババグループの学術委員会の主席であり湖畔大学教育長の曹鳴氏が湖畔大学で授業をしている最中にこのような講義を繰り広げた。講義では、Hellobike の1日における受注数はすでにmobikeとofoの総数を超えているという内容が語られた。

李開遂氏とHellobikeの主席運営官である韓美近氏はメディアの取材に対してこう答えた。「Hellobikeの1日の利用数と、mobike、ofoの利用総数の数値に大きな差はない」。では、このデータは一体どのようにして算出されたものなのか。李開遂氏は「業界には横の繋がりがある。みんなそれぞれお互いにどのくらいの水準に達しているかということは自ずと分かるものだ」と話した。

そして王仕平氏はメディアが取材に訪れた際に、受注の現況に見られる変化の転換点について語った。「2018年3月に全国の芝麻信用(Zhima credit)がデポジット免除を実行して以降、2ヶ月のうちに弊社の登録ユーザーはこれまでの数よりおよそ70%増しに膨れ上がった。1日ごとの受注数においては100%増しにも及ぶ。シェアサイクル業界の三大企業のうちの1社という存在から、業界トップという存在へ変貌を遂げたのだ。今のところ1日ごとの受注数は業界でいちばんの業績を誇っている」。

Hellobikeが提供する最新のデータによると、現在の登録ユーザー数は約1.9億人で、日毎の受注平均数は約2,400万になる。そして1日に平均1,200万人のユーザーが利用している。ofoの公式発表によると、登録ユーザー数は約2.5億人、日毎の受注数は3,200万だ。mobikeは約2億人の登録ユーザーがおり、日毎の受注数は3,000万。データ収集サービス会社の極光(Jiguang)の5月のデータによるとofoの日毎の受注数は417万人、mobikeは305.2万人、Hellobikeは184.2万人だ。

Hellobikeは、彼らが言うように本当にすでに業界のトップに昇りつめているのだろうか。他の2企業の公式データや、また別の第3の企業のデータと比べて明らかに優勢というわけでもないようだ。では、業界における優劣順位とは一体どのように解釈すれば良いのだろうか。その定義はHellobike自らの手中にあるのだ。

しかしこの事実は、Hellobikeが抱いている野望には全く影響を及ばさないようだ。Hellobikeの創始者である楊磊氏はこう豪語する。「ofoもmobikeも、もはや我々の敵ではない」。韓美氏も「我々の目標は常にトップの座を維持することだ」とつぶやく。

今のところHellobikeの受注数量は南京、青島、蘇州などの地方都市や更に田舎の市街地がほとんどを占めている。楊磊氏は、こう語る。「次は全力で北京、上海などの主要都市で政府部門のサポートを獲得して、彼らの指導にあわせて主要都市の更なるユーザー獲得を目指してサービスを提供していきたい」と。

また、これとは別にHellobikeの最高財務責任者である陳暁東氏は、6月29日に受けた彭博(Broomberg news)のインタビューでHellobikeの新規上場の可能性は排除しない、と語った。

エピローグ

blue gogoが倒産を宣告してからのち、シェアバイク業界は正式にofoとmobikeの二者独占のステージとなった。大手ライドシェア企業の「嘀嘀打車(ディディ)」と「快的打車(Kuaidi)」の合併、もしくは中国最大の口コミサイト「大衆点評(dianping.com)」とクーポン共同購入サイト「美団(meituan.com)」の合併のように、多くの人々はシェアサイクル業界の最終着地点は二大トップ企業の合併に収束すると考えていた。

しかしながら、金沙江創業投資(GSR ventures)の総経理、朱啸虎氏など投資側が声高に呼びかけたにも関わらず、シェアサイクル業界におけるこの二大企業はとうとう合併することはなかった。最終的に各方面の投資家が利益を糾弾した際に、朱啸虎氏は現金化して人を解雇するという選択をした。今、彼は微信小程序(ミニプログラム)において尽力している。

現段階でシェアサイクル業界はどこへ向かっているのだろうか。6月1日、螞蟻金服の全出資会社である上海雲鑫は、永安行(Youon bike)に20.60億元を増資した。後者は22億米ドルに達すると予測される。4月13日、滴滴快車(ディディクァイチャー)は5億米ドルを青桔単車に投資する予定だ。4月3日、美団は27億米ドルの弁財(35%の美団株式と、65%現金)で全額出資してmobikeを買収し、3月13日にofoはアリババの8.66億米ドルのE2-1投資を獲得した。

シェアサイクル業界の発展は後半戦に突入したが、相変わらずはっきりとした利益獲得のスタイルは確立されていない。

利益獲得のスタイルについて言うと、Hellobikeもmobikeもそんなに切迫しているわけではない。韓美氏は、Hellobikeは現在、企業ユーザーのために車体広告などを提供することを検討していると話した。
そのほかにも、Hellobikeは観光地においての利益獲得をすでに実現することに成功した。これからまだ、自転車チケットと各観光スポットの入場券をセットにするなどのサービスも検討の余地があるかもしれない。ofoは新しい価格計算スタイルや車体広告、アプリ内での広告や企業のグリーンカードなどを試している最中だ。ofoの創始者である戴威氏は、企業間での電子商取引や金融、地元の生活方面においての利益獲得を模索中だと話している。

しかしながら、さらに多くのマーケット配分額を獲得するためにはシェアサイクル事業は依然として多額の費用がかかる。この上期半年間を見るとトップ企業であっても、やはり頼れる投資元を探しているのだ。

mobikeはちょうど、すでに美団appに接触してさらなる協力を仰ぐことを発表した。それと同時に、mobikeは全国的にデポジット料金が無料のサービスを開始することを宣告した。
しかしながら早くも3月から、Hellobikeは螞蟻金服と協力して全国的にデポジット料金無料のサービスを実施することを宣告していた。しかしこれは、信用ポイントが650点以上でなければならない。

Hellobikeは「螞蟻金服は更なるサポートを提供してくれる」と語る。この他にも、mobikeは正式に電動自転車を導入したが、Hellobikeは四輪車の設置を表明した。

しかしながら、いま論じるに値することはアリババが何度ofoに投資したとしても、ofoはやはり独立発展を志しているということだ。独立して発展した後のofoがどこまで成長を遂げられるのかという点に、マーケットも強い関心を寄せている。続いて、アリババはHellobikeとofoの合併を推していると噂されている。

シェアサイクル業界のこれからの構造はどうなるのだろうか。韓美氏はシェアサイクルのマーケットには独立発展した大企業はこれからも存在し得ないと考えている。やはり2〜3社の強豪がマーケットを分割するという構造が続くというのだ。

はじめにofoとmobikeが激烈に競争していた時、外部からは「これはアリババとテンセントの競争である」と言った声が聞こえていた。それから半年の時間が過ぎたが、シェアサイクル事業はやはり巨大な投資元の後ろ盾あってのマネーゲームなのだ。

日本企業のDXを促進するプラットフォーム「CONNECTO」
無料コンテンツ公開中

最新記事