TikTokが日本企業への投資を計画 逆風のグローバル事業打開に向け戦略修正へ

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ショート動画アプリTikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)が、日本企業への投資を行う意向であることが20日分かった。近く投資事業専任の担当者を東京オフィスに配属する予定で、テック企業やメディア関連企業などへの出資や買収を通じ日本事業を拡大する考えだ。

バイトダンスがグローバル化を推進する手段として投資に踏み切った背景には、海外事業を取り巻く環境と自身のビジネスモデルという2つの要素が関係している。

地元との緊密な関係を目指す

2017年から2019年にかけて破竹の勢いで海外事業を拡大していったTikTokだが、2020年夏に突如ブレーキがかかる。当時のトランプ米大統領がTikTokに利用禁止か事業売却の二択を迫り、米国からの排除に乗り出したのだ。現在も米ウォルマート、米オラクルとの買収協議が続いているが、いまだ出口は見えていない。さらにインド政府もTikTokを始めとする中国製スマートフォンアプリの使用禁止を命じた。

バイトダンスは一連の出来事から教訓を学んだ。TikTokの海外事業を拡大するにあたり、出資や買収を通じて地元企業との連携を深めておくなら、息の長い事業展開を行うための有利な環境を作り出せる。日本企業への出資や買収に乗り出すのは、まさにこのためだ。

ライブコマースなど新事業への布石

日本企業への投資は、TikTokが今後ライブ配信事業やEC事業へと手を広げるための土壌作りともなる。

もともとTikTokはライブ配信事業を全力でプッシュする計画だったが、ユーザー平均単価(ARPU)の高い日本や米国、西欧諸国ではコンテンツに対する規制が厳しいため、今のところ発展途上国での事業展開をメインに据えている。ただ先進国でのライブ配信事業を完全に諦めたわけではなく、模索は続いている。

EC事業にも積極的な姿勢で取り組んでおり、実際に多くのECプラットフォームがTikTok経由のアクセスから大きな恩恵を受けている。

昨年、TikTokは米国でショッピングカート機能の内部テストを行った。動画に埋め込まれたリンクからその商品を扱っているアマゾン店舗に直接アクセスできるというものだ。これに続き、TikTokはさまざまなEC関連機能を追加してきた。

最近、TikTokがクリエーターとフォロワーとの交流を促す新機能「Q and A」の内部テストを行っていると外国メディアが報じた。この機能をオンにすると、ユーザーはプロフィールページやコメント欄からクリエーターに質問でき、クリエーターは動画やライブ配信の中でその質問に答えていく。これはTikTokがライブコマースを行う上で強力なツールとなる。

目下TikTokは広告収入が主な収益源となっている。自前で広告システムを構築し、GoogleやFacebookに対抗できる数少ない中国企業だ。動画プラットフォームとして不動の地位を築き、広告収入も安定している状態で、TikTokが中国のライブコマースの手法を導入すれば、今後の業績を支える一番の成長分野になると見込まれる。

ただ広告と比べると、ECのビジネスモデルはサプライチェーン、取引システム、決済、物流、カスタマーサービスなど関連分野が多岐にわたり、オペレーション面で地元企業と緊密に連携する必要がある。

外国企業としてアウェーの戦いを強いられるTikTokがライブコマースなどの新事業を展開するにあたり、まず地元企業への出資や買収を通じて地盤を固めるというのは手堅い方法と言える。(翻訳・畠中裕子)


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