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毎年旧暦の大晦日に放送される中国中央電視台の「春節聯歓晩会」は、中国でもっとも視聴率の高い番組だ。そのため、番組のスポンサーがどこになるのかは毎年注目される。ショート動画プラットフォームの「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」は2019年にネーミングライツを取得したのに続き、2021年のお年玉機能の独占パートナーとなった。
お年玉は中国の春節に不可欠な習慣の一つで、モバイルインターネットの普及によって、電子マネーを送ることが増えた。今やインターネット大手が、この習慣を利用して春節期にアプリ内で現金形式のお年玉を配ることが通例になっている。
抖音は今年、傘下の3つのアプリ「抖音」、「抖音火山版」、「抖音極速版」で計20億元(約320億円)のお年玉を用意した。昨年リリースされた抖音極速版だけで10億元(約160億円)分を利用者に送る予定だ。
お年玉を利用したマーケティングでもっとも成功したのは、2014年のWeChatだ。WeChatは同年の春節に合わせてグループチャット内でお年玉を送れる機能をリリースし、大きな話題を呼び、ユーザー数とロイヤリティの増加につながった。当時始まったばかりのWeChatの決済機能もお年玉キャンペーンの成功で急速に普及し、モバイル決済の王者であるアリペイと肩を並べるまでになった。
今年の春節では、抖音が当時のWeChatの成功の再現を目指している。
お年玉とソーシャル機能
抖音が2019年に春節聯歓晩会のネーミングライツを取得したときは5億元(約90億円)のお年玉を抖音アプリで配った。抖音での春節聯歓晩会に関する動画の総再生回数は247億回となり、延べ337万人がお年玉をもらった。
今年は抖音もグループチャット内でお年玉を送ることができるようになった。チャット画面にある「+」ボタンをタップすれば、「紅包(お年玉)」ボタンが表示される。
グループチャット内のお年玉機能では、すべての参加者に同額のお年玉を送ることもできれば、金額をランダムで決めることもできる。お年玉1件あたりの上限額は200元(約3200円)で、お祝いのメッセージを添付することもできる。
お年玉を送るのに必要な金は、当該アカウントとリンクした銀行口座から引き落とされるか、抖音の電子ウォレットにチャージした電子マネーを利用することになる。もらい手のないお年玉は、24時間後に電子ウォレットに返金される。
春節聯歓晩会当日のお年玉がどのように送られるのかはまだ公表されていないが、抖音のお年玉機能がWeChatと非常に似ていることから、2014年のWeChatと同様、抖音もソーシャル機能の強化を目指しているのだと考えられる。
また、抖音はAR機能を使ったお年玉を春節前に始める可能性がある。消息筋によると、抖音は、商品や文字をアプリに読み込ませれば、抖音のECページに跳ぶことができる「ByteLens」というアプリの内部テストを始めている。このアプリを使い、特定の商品や文字を読み込めばお年玉がもらえるようにする可能性がある。
抖音は今年1月に決済機能を実装したばかりで、今回のお年玉キャンペーンでそれを普及させようとする意図は明らかだ。一方、WeChatの動画機能である「視頻号」にも、お年玉機能が追加された。春節期間中に視頻号とWeChatの既存のお年玉機能を一本化させ、ユーザー数の急増につなげようとする可能性が取り沙汰されている。
いずれにしても、2021年の春節期間中に、インターネット大手同士の激しい競争が起きることは間違いない。特にソーシャル機能の強化を図る抖音にとって、今回のキャンペーンはほんの第一歩に過ぎず、同様の競争はこれから先何度も繰り返されるだろう。
(翻訳・小六)
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