OPPO、中国国内販売台数第1位に ファーウェイ筆頭の「一超多強」時代終焉

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

OPPO、中国国内販売台数第1位に ファーウェイ筆頭の「一超多強」時代終焉

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国スマホ市場はここ十数年の紆余曲折を経て、ファーウェイ(華為技術)、シャオミ(小米)、OPPO、vivoのトップ企業4社がシェアをほぼ独占する状態となり、その他の企業はわずかなシェアを分け合う形となった。中でもファーウェイは、長い間スマホ業界の王者として君臨していた。2016年第4四半期の一度だけOPPOにその座を譲り渡したものの、16年から20年第4四半期まで国内シェア第1位を維持していた。間違いなく、中国で最も人気のあるスマホブランドだった。

しかし、昨年の米国の制裁により自社開発のチップセット「Kirin」シリーズの供給が止まったことが、中国のスマホ産業をリードしてきたファーウェイの位置づけに影響を及ぼした。ファーウェイの凋落は、競合他社にブレイクスルーのチャンスを与えることとなった。

市場調査会社「Counterpoint Research」の統計からは、中国スマホ業界の形勢が今年1月に変化を遂げていたことが分かる。 同月、OPPOがファーウェイを抜き、国内販売台数第1位に躍り出たのだ。その市場シェアは驚異の21%。後に続くvivoは20%で、ファーウェイ、米アップル、シャオミがそれぞれ16%前後だった。その他の企業のシェアはさらに縮小している。また、OPPOは販売台数も前月比33%増、前年比26%増と驚くべき勢いで伸ばしている。

OPPOの市場シェアの推移(2020年7月〜21年1月、「Counterpoint Research」より)

OPPOの台頭は、その戦略的な方針転換と切り離しては考えられない。ここ数年は「地方市場」をキーワードに市場開拓を進めており、三級以下の地方都市から農村地域にまで専売店の開設エリアを広げ、オフラインでの強力なPRによりユーザーを獲得している。

昨年の新型コロナウイルス流行期間中は、新たな施策を打ち出して代理販売事業者の負担を減らした。営業範囲を省レベルとする事業者に対しては、最高60%の家賃補助を行った。県などを営業範囲とする事業者に対しては、一流の販売員を派遣し、全体的なサービスレベルを引き上げた。この施策により、OPPOは代理販売事業者からも多くの支持を集めることとなった。

イノベーションを重視するOPPOはここ数年、研究・開発にも注力し、非常に多くの成果を上げている。昨年9月30日時点で5万2000件以上の国際特許を出願し、2万1000件で特許を取得するなど、特許技術の研究・開発で業界トップをひた走っている。中でも先進的な技術の代表、業界トップクラスを誇る65ワットの急速充電技術「Super VOOC」と世界初となる倍率10倍のハイブリッド光学ズームは、いずれも同社製品の魅力を高めている。

昨年開催された「OPPO INNO DAY 2020」では、伸縮ディスプレイ搭載のコンセプトスマホ「OPPO X 2021」、ARグラス「OPPO AR Glass 2021」およびARアプリケーション「OPPO CybeReal」を発表している。

「OPPO X 2021」

中国スマホ業界は再びの「群雄割拠」へ

OPPOが勢いを増す一方で、ファーウェイは今後を見通せない状況に置かれている。今年4月にもフラッグシップモデルの「P50」シリーズをリリースする可能性が報じられたが、チップセットの供給不足により、発売を待ち望むユーザーに応えるのは難しいとみられる。昨年のフラッグシップモデル「Mate 40」シリーズと同様、発売に遅れが出る見通しだ。

中国スマホ業界は今年に入り、昨年の新型コロナ流行による低迷からの脱却を遂げ、企業間の競争が激烈さを増そうとしている。

中国スマホメーカーの出荷台数と前年比成長率(2019~20年、市場調査会社「Canalys」より)

この流れの中で、OPPOが国内販売台数第1位の座を守るのは難しいとみられる。まず、猛烈な勢いで出荷台数を伸ばすシャオミが大きな脅威となるだろう。同社は昨年第4四半期の出荷台数を前年比40%増としている。また、OPPOがファーウェイほどの優位性を見せられない中、vivoが依然として市場シェアの20%を握っており、人気モデルが発売されれば、いつでも順位を逆転される可能性がある。さらに、現在は苦境に陥っているとはいえ、ファーウェイも他社からチップセットの供給を受けられれば、国内販売台数第1位の座を奪還しようと全力を挙げてくるだろう。

中国のスマホ市場には今後、再び群雄割拠の局面が訪れる可能性が高い。かつてファーウェイが王者として君臨したような「一超多強」時代は二度と訪れないだろう。

作者:「雷科技」(Wechat ID:leitech)、三明治
(翻訳・田村広子)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録