看護師不足が深刻化する中国、血管穿刺ロボットを開発 成功率96%以上

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看護師不足が深刻化する中国、血管穿刺ロボットを開発 成功率96%以上

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中国では看護師不足が深刻化している。中国の保健当局の集計によると、2019年末の時点で中国の看護師は445万人で、人口1000人あたり3.18人となる。この数はEUの1000人あたり8人、米国の同9.8人と比較すると大きく遅れており、全国で約200万〜300万人の看護師が不足している計算となる。また、看護師の多くが東南沿海地方と大都市に集中しており、西部や農村部ではより不足しているのが現状だ。

すでに社会問題となっている看護師不足に対し、人材育成を強化するほか、自動設備を開発する動きも活発化してきた。看護師の日常業務の一つである点滴のサポートを行うロボットを開発する「伏羲九針(FUXIJIUZHEN)」社もその一例だ。同社の「FUXI」ロボットは中国の第3類医療機器登録審査を申請している最中だ。

点滴を行うには静脈穿刺が必要だが、臨床では患者の静脈が見えにくく穿刺が難航することがよく見られる。伏羲九針の創業者・楊帆氏は、「調査した結果、ロボットを使ったほうの精度が高く、患者もロボットのミスなら仕方ないと納得できることがわかった。また、僻地や船舶上、観測基地、宇宙ステーションなど特殊な環境では看護師が少ないため、点滴が必要な患者が治療を受けられない可能性がある。こうした理由から、点滴ロボットの開発を始めた」と話している。

ロボットFUXIの役割は、どのような状況でも血管穿刺ができるようにすることである。現在完成したプロトタイプは各種注射針に対応可能で、看護師が行うのは針の交換のみだ。患者が手を所定の位置に差し出せば、10秒〜20秒で血管穿刺が完了する。ここまで開発するのに患者の手の甲の血管エコー画像2万枚以上を集め、動物実験を200回、臨床試験を100回以上行っており、成功率は96%以上となっている。

これだけ高い精度を実現できるのは、ロボットにAIが内蔵されており、絶えずディープラーニングで精度の向上を図れるためだ。また、赤外線静脈検知、エコー画像誘導ナビゲーション、力覚センサーなどの技術も搭載している。同社はこのロボットの開発においてすでに特許を5つ、実用新案を1つ取得済みで、ほかにも10の特許を出願中だ。

プロトタイプのロボットは点滴、輸血のための静脈穿刺、針の留置、バイタルサインの測定、局所麻酔などに使うことができる。使用場所の制限は特になく、感染症病棟でも使用可能だ。

楊氏によると、同社の収益は、初期段階では病院や介護施設へのロボットの販売、レンタル料を中心とする。ロボットのコストが十分に下がれば、ロボット本体を無料で貸し出し、消耗品の販売で収益を挙げるモデルに切り替える可能性がある。

中国の血管穿刺ロボットの市場規模について、同社の試算では2019年時点ではロボット本体が約450億元(約7700億円)、消耗品が約210億〜245億元(約3600億円〜約4200億円)となっている。また、中国の医療用ロボット市場の年平均成長率は約30%であり、今後さらなる成長が期待できると楊氏は語る。

伏羲九針のロボットはすでに複数の病院で臨床試験とデータ収集を行っており、また麻酔用、腫瘍焼灼用、鍼灸治療用ロボットを開発中だ。こうした開発を加速化させるために、同社は資金調達を計画している。

(翻訳・小六)

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