中国EV大手NIO、21年1Q決算は「史上最高」 年間100万台生産可能な工場を建設中

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4月30日、新興EVメーカーの「蔚来汽車(NIO)」が2021年第1四半期の財務レポートを公表した。当期売上高は前年比481.8%増、前期比20.2%増の79.8億元(約1400億円)となった。赤字は前年比182.96%増48.75億元(約830億円)となったが、営業損失は2.96億元(約50億円)にとどまり、前期比で68.2%改善した。

NIOの説明によると、2021年第1四半期は投資家から株式の3.305%を買い戻したために赤字が増え、この分とストック・オプションを除外すれば、赤字は5億元(約85億円)未満となり、前期の13.3億元(約230億円)から大きく改善されているという。

また、前年同期の現預金残高は23.97億元(約410億円)だったが、今は475.5億元(約8100億円)に急増しており、キャッシュ・フローは健全だ。

画像はNIOより

第1四半期の販売台数、売上高、粗利率、車両の平均販売価格はともに史上最多となり、販管費や営業損失は減少した。そのため、今回の財務レポートは「NIO史上最高の財務レポート」とも評されている。

平均販売価格は740万円

2021年第1四半期の同社の車両販売の粗利率は21.2%、会社全体の粗利率は19.5%となり、前期比でそれぞれ4ポイントと2.3ポイント改善した。

画像はNIOより

半導体不足で5日間の生産停止を余儀なくされたが、2021年第1四半期の納車台数は2万60台となり、初めて2万台を超えた。車両の平均販売価格は43.47万元(約740万円)と、前期比で4200元(約7万円)上昇し、この金額は中国でのBMW、アウディの平均販売価格よりも高い。

平均販売価格が高いため粗利率は改善しているが、価格が高い分シェアを失っているのではないかと疑問視する声もある。これに対し、同社の李斌CEOは、NIOは自動車市場全体ではなく、高級車市場でのシェアを重要視しているため、値下げは考えていないとする。また、利益の一部をカスタマーサービスの向上に充てているため、値下げしなくても購入者にとって十分メリットがあると説明した。

自信みなぎるNIO

2021年に入ってからEV業界は話題に事欠かない。テック大手の百度(バイドゥ)、小米(シャオミ)の参入、フォルクスワーゲン、ゼネラル・モーターズのEV強化、中国の国有自動車大手企業傘下の「嵐図(VOYAH)」、アリババ支援の「智己汽車(Zhiji Motor)」なども急ピッチで開発を行っている。

こうした動きについて李CEOは、「2021年の上海モーターショーを見れば、中国のEV産業がいかに活力に溢れているかがわかる」とした上で、「高級EV市場では、NIOと肩を並べる企業はまだない」と自信をのぞかせた。李氏が言うには、製品、技術、アフターサービス、ユーザー・エクスペリエンス、ユーザー・コミュニティなどを総合的に見れば、蔚来ほど成功している企業はないという。

こうした自信の支えとなる要因の一つに、生産体制の強化を挙げることができる。4月29日、NIOの新しい産業パークの建設が始まった。第1期だけで500億元(約8500億円)を投資したこの産業パークが完成すれば、年間最大100万台の完成車、100GWh相当のバッテリーを製造することが可能となる。蔚来は産業パークの製造技術、サプライチェーン、品質管理を行い、合弁相手の「江淮汽車(JAC)」が労働者の確保や日常運営を担当する。

半導体不足は短期的にはまだ続くため、NIOもその影響で第2四半期の納車台数目標を毎月7500台から四半期全体で2万1000〜2万2000台に修正した。しかし、第3、第4四半期からは状況が好転すると見込まれるため、同社の好調はしばらく続きそうだ。

(翻訳・小六)

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