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中国でも一時、絶大な人気を博したLINEの公式キャラクター「LINE FRIENDS」。そのグッズを取り扱う「LINE FRIENDS STORE」が中国にある全店舗の閉店を決めた。
LINE側は「全体的な戦略調整のため」としているが、最大の要因はキャラクタービジネスの伸び悩みかもしれない。SNSツールから生まれ一世を風靡したLINE FRIENDSだが、移り変わりの激しいキャラクター市場で若者を引き留めることができなくなっている。
快進撃も長くは続かず
LINE FRIENDSが中国でこれほど人気を集めたことは少し意外に思えるかもしれない。というのも、2014年以降LINEアプリそのものは中国で利用できなくなったからだ。しかしLINE FRIENDSの勢いは止まらず、数カ月後にはオフライン店舗の形で中国市場に進出を果たす。
2015年に中国1号店となるLINE FRIENDSのショップ兼カフェが上海新天地にオープンした。公式資料によると、ピーク時には中国全土に12店舗あり、中でも2018年に杭州市でオープンした店舗は世界最大の規模だったという。
だが、世界最大のLINE FRIENDS STOREも勢いに乗れずに、オープンからわずか2年後に閉店を余儀なくされる。これは中国に限ったことではない。月間売上高10億ウォン(約1億円)をたたき出していた韓国のカロスキル店も観光客減少が影響して、2019年9月末で閉店となった。
「飽きてきたかな」
アニメが元となっているドラえもんやちびまる子ちゃんなどとは異なり、LINE FRIENDSはSNSツールのスタンプから生まれたキャラクターであり、インターネットの要素が色濃い。
この種のキャラクターがまだ中国でほとんど見られなかった頃は、LINE FRIENDSにとってチャンスだったが、近年では中国企業も同様のキャラクターを生み出すようになってきた。中国の国民的SNSであるWeChat(微信)にも大量の個性的なスタンプが登場しており、これがLINE FRIENDSの強力なライバルとなっている。
LINE FRIENDSも特別展やカフェの開設、テーマパーク建設など体験型のオフライン事業にも注力するものの、同業者との厳しい競争にさらされてきた。
ライバルキャラクターの猛追でシェアを奪われる一方、オフライン店舗の問題点も露呈するという厳しい状況だ。
「LINE FRIENDSに新キャラクターが加わることはあっても、結局のところ人気なのはブラウンなどの決まったキャラだけ。いい加減、飽きてきたかな」と、ある消費者は語る。
海賊版など問題は山積み
オフライン事業に対し慎重姿勢に戻ったLINE FRIENDSは、次の一手としてEC事業やコラボ、ライセンス事業に力点を置くと見られる。というのも、これらは多くのキャラクタービジネスで主流となっているマネタイズ方式だからだ。
LINE FRIENDS側の発表によると、2018年に中国でのライセンス事業を開始後、事業成長率は毎年20%近くに上り、現在は大手を含む100ブランド以上と提携しているという。しかしキャラクターライセンスに頼るだけでは、根本的な解決策とはならない。
さらに海賊版の横行など、キャラクタービジネス特有の問題にLINE FRIENDSも悩まされてきた。公式ショップでは全長28cmのブラウンのぬいぐるみが169元(約2900円)で販売されているが、海賊版を取り扱うショップでは1.2メートルのブラウンのぬいぐるみがわずか88元(約1500円)で売られているなど、正規品市場が甚だしく侵食されている。
問題山積の中、息の長いキャラクタービジネスを展開し、ファンやコミュニティーを形成していくには、強力な運営スキルやイノベーション力が求められるほか、サプライチェーンなど産業全体の整備も不可欠となる。
もし関連グッズやコラボ、ライセンスに頼り切ったビジネスを続けるなら、LINE FRIENDSの生き残りは厳しいと言わざるを得ないだろう。
作者:鋅刻度(WeChat ID:znkedu)、黎文婕、楊皓然
(翻訳・畠中裕子)
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