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電子商取引(EC)プラットフォームの「抖音電商(Douyin Dianshang)」が、管轄エリアを中国エリアと非中国エリアに分け、EC事業の核となるサプライチェーン部門にアリババのサプライチェーン関連分野の元幹部3人を迎えたことが明らかになった。同社はバイトダンス(字節跳動)運営の短編動画投稿アプリ「抖音(Douyin、海外版はTikTok)」傘下でEC事業を展開している。
バイトダンスは、海外ではTikTok、中国国内では抖音を安定的に成長させながら、EC市場における国際的競争力を高めようとしている。
EC事業の拡大を目指して
抖音電商は、昨年の流通取引総額(GMV)が5000億元(約8兆5000億円)を上回り、今年に入ってからも精力的に事業展開を進めている。
抖音電商は今年に入り、さらに精力的に事業展開を進めている。まず、電子ウォレットサービス「抖音支付(Douyin Pay)」をローンチ。抖音ユーザーは、外部プラットフォームを通さずに支払いを完了できるようになった。次に、分割払いサービス「DOU分期(Dou Fenqi)」を開始。ユーザーの購買意欲を刺激することで取引額の向上を狙っている。
海外でもTikTokのEC事業が堅調な伸びを見せている。TikTokは昨年、米国のAmazonやウォルマート、カナダのShopifyなど複数のECプラットフォームと提携を結んだ。Amazonに出品された商品は、投稿動画のおかげで売り上げが大幅に増加しただけでなく、販売価格も徐々に上昇している。
短編動画は、文字や画像とは別の形で消費者の購買意欲を駆り立てる。TikTokはその強みを生かし、独自のECシステムを構築しつつある。
課題はサプライチェーンの構築
バイトダンスがEC事業を展開する上で、抖音の集客力は大きな自信につながるはずだ。ビジネスメディア「晚点(LatePost)」によると、抖音電商は今年のGMVの目標を上方修正し、1兆元(約17兆円)としている。
しかし、すでに中国のEC市場はかなり成熟しているため、ユーザーを囲い込むためにはサプライチェーンと物流システムの構築を急がなければならない。そのためには、当然のことながら人材が重要になってくる。
今回、抖音電商のサプライチェーン部門に加わった王維氏は、西安交通大学を2010年に卒業し、アリババのECプラットフォーム「淘宝(タオバオ)」に入社。2014年からは物流プラットフォーム「菜鳥(CAINIAO)」でインターネット・スマート物流事業の責任者を務めていた人物だ。
サプライチェーンに詳しい業界関係者は、バイトダンスがサプライチェーンや物流倉庫システムをいきなり中国全土で構築しようとしても、コスト面で折り合いがつかないはずだと指摘。場合によっては、まず営業範囲を点状のエリアに限定し、徐々に点から面へと広げる戦略を取る可能性があるとの考えを示した。
抖音電商の今後を不安視する声も聞こえてくる。同社がEC分野で長期的かつ全体的な成功を収めるのは難しいとの見方だ。同社のルーツはコンテンツの共有と発信が専門の抖音にあり、小売りやサプライチェーンの管理を得意としているわけではないからだ。
物流倉庫システムの構築は、短中期的には悪くない戦略だ。しかし、物流倉庫の稼働が始まれば、必然的に長期投資のサイクルに突入していくだろう。抖音電商の今後の展開に注目だ。
(翻訳・田村広子)
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