アリババ物流子会社「菜鳥」、韓国中小企業団体と提携

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

大企業注目記事

アリババ物流子会社「菜鳥」、韓国中小企業団体と提携

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

アリババ傘下の物流プラットフォーム「菜鳥網絡(Cainiao Network)」(以下、菜鳥)は韓国中小ベンチャー企業振興公団(KOSME)との間で、韓国の中小企業向けにスマート物流サービスを提供することで合意した。

本合意により菜鳥はKOSMEの物流補助金事業のパートナーとなった。同事業に参加する輸出企業へは最大1500万ウォン(約150万円)の補助金が支給されるという。また、参加企業は無償で菜鳥が持つスマート物流管理システムを利用でき、在庫や受注処理、納品状況などをリアルタイムで確認できるようになる。

宅配王者、海外戦略を加速

中国では2014年から、政府主導で国際物流事業の拡大が加速している。大手宅配企業はこれを機に事業の国際化を急いできたが、その重点は以下のようにそれぞれ異なる。

まず、菜鳥はグループの宅配企業を通じて世界中にスマート物流基幹ネットワークを構築し、「eWTP(世界電子貿易プラットフォーム)」構想の提唱、さらにeWTPの大型物流拠点「eHub」の建設を進めている。次に、「順豊エクスプレス(SF Express)」はB2B、B2C、C2C各事業をカバーし、自社運営、他社との協力運営を通じた事業拡大を行っている。また、中国大手宅配企業5社(「申通快逓(STO Express)」、「圓通速逓(YTO Express)」、「中通快逓(ZTO Express)」、「百世快逓(BEST Express)」、「韻達快逓(YUNDA Express)」)は越境EC企業向けに保税、ダイレクト便、倉庫・配送一体型などの総合的物流業務を提供する。

2020年12月までに、菜鳥の物流ネットワークは世界224の国・地域に広がり、順豊の国際配達サービスは78カ国、国際小包事業(E-Parcel)は世界225の国・地域に拡大している。中通の越境ビジネスは世界約220か国・地域をカバーする。圓通の子会社は世界18の国・地域に広がり、配送拠点は世界53カ所にある。申通の海外拠点は累計で103カ所に広がっており、6カ国で倉庫・配送サービスを展開している。百世も世界20の国・地域でサービスを展開する。

中国国家郵政局によると、2020年中国宅配業者が扱った香港、マカオを含む国際宅配件数は18億4000万件に達し、前年比27.7%増加した。事業収入は1073億4000万元(約1兆9000億円)、同43.6%の伸びとなった。

世界に広がる菜鳥ネットワーク

菜鳥はこれまで海外の倉庫資源の拡充、海外の宅配企業との連携を通して、越境EC企業に効率的な物流サービスを提供してきた。菜鳥の越境物流のパートナー企業は燕文物流(YANWEN)、4PX EXPRESS(逓四方速逓)、シンガポール・ポスト(Singapore Post)、英ロイヤル・メール(Royal Mail)など89社に上る。

越境B2C事業を展開するECが爆発的な成長を始めた2020年以降、菜鳥も物流ネットワークのアップデートを続けている。すでに6カ所の国、都市とeWTPの共同構築で合意しており、物流、通関、支払い、金融などのワンストップソリューションを提供している。

また、菜鳥と「アリエクスプレス(AliExpress、全球速売通)」は2020年7月、「5ドル(約550円)で10日以内に宅配」という越境配達サービスを打ち出した。自社ネットワークを使い、低コストで荷物を海外へ届ける。菜鳥によると、同サービスは今年スペイン、フランス、オランダなど欧州に拡大、年内には18カ国をカバーする予定だという。

最新の財務情報によると、今年3月、菜鳥が全世界に構築する物流ネットワークの1日あたりの平均取り扱い件数は500万件を突破。世界4位の規模となり、FedEx、DHL、UPSという世界宅配大手3社と肩を並べるまでに成長した。菜鳥によると、2020年までに同社が世界で持つ倉庫面積は150万平方メートルを超え、海運・陸運のルートは1500を超えるという。今年末には約800の貨物用航空路線の就航も計画している。
(翻訳:Qiunai)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録