中国の幼稚園に先生ロボット登場。教員不足で既に1500園が導入

中国のサービスロボット市場は2018年にも123億元(約2000億円)規模に達すると言われている。各メーカーがとくに注目しているのが教育現場への導入で、多くの関連製品が開発されているという。

36Krは教育用ロボット開発に携わるスタートアップ賓果智能を訪ねた。過去には家庭教師ロボットを売り出したものの、高価な価格設定や技術面など様々な要因で失敗に終わった。その後、顧客を個人から幼稚園に定めた。幼稚園内で稼働する教育用ロボットと、教育クラウドプラットフォームを一体化した人工知能(AI)サービスを提供する。

創業者の閔海波氏は幼稚園に着目した理由について、「2~4級都市の多くの幼稚園は、深刻な人材不足と定員割れの問題を抱えている。幼稚園教諭は過去3年、200万人ほどが不足していると言われ、教諭の50%以上の学歴は中等専業学校(日本の高等専門学校にほぼ相当)卒以下で、離職率は32%にも達している。また、入園生募集に関しては各園の激しい奪い合いとなっている」と説明する。

教員不足の解消と入園応募数の増加を狙い、幼稚園への導入を進めているのが賓果智能の開発した「ロボット教員」だ。園児の出欠をとったり会話をしたりする以外に、英語などの授業も行う。園児は触れたり、話しかけたりすることでロボットと実際に交流できる。

カリキュラムは賓果智能のオープンプラットフォームが提供する。現段階では英語、科学、スピーチ、ゴルフの4科目がある。近く児童書出版社と提携し、児童向け書籍も多く導入する予定だ。オープンプラットフォームは各モバイル端末から接続可能で、園児の家庭でも有料で授業を受けることができる。

また、ロボットは顔識別・表情識別センターを搭載し、園児の感情や授業への集中度などを判別する。授業の習熟度や英語の発音についても評価し、保護者へフィードバックされるほか、保護者は微信(WeChat)を通じて授業風景を確認することもできる。

ロボットの役割は授業が主体で、とくに英語やSTEM(科学技術・工学・数学)など高度な内容の授業で本領を発揮する。情緒や道徳面を教諭がフォローすれば、教育の質をトータルに高めることができる。賓果智能のロボットを導入した幼稚園では、入園希望者がおおむね2割増加しているという。

幼稚園と家庭教育の一体化を目指し、家庭向けのロボットも発売した。在籍園での授業の進度と同期して家庭学習も進められる。

賓果智能の提携園はすでに1500園にのぼる。ロボットは幼稚園用・家庭用合わせて1万台以上が売れており、月の売上高は200万元に上る。

賓果智能は8月、シリーズA+ラウンドで数千万元に上る資金を調達した。出資を主導した中以智教のパートナー鄭涛氏は、賓果智能について「個人向けから教育機関向けへ転換した点を評価した。また、早期教育の現場では給与水準が低いために優秀な教諭を集めることが困難で、高まり続ける保護者の需要に反し、人材の質を維持できない状況だ。これを解決するにあたり、賓果智能の提供する教育用ロボットは、コスト面や普及面で優れていると判断した」としている。

賓果智能創業者の閔海波氏は清華大学コンピューター専攻で博士課程を修了。ロボット開発の分野に10年以上携わり、国家プロジェクトにも複数参加したキャリアを持つ。
(翻訳・愛玉)

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