TiKTok中国版「抖音」がWEB版リリース 中・長尺動画を強化

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先月22日、ショート動画アプリ「抖音(Douyin、海外版は「TikTok」)」WEB版の試験運用が始まった。

パソコンから検索エンジンを使って「抖音」、もしくは「抖音官網(抖音公式)」と検索すると、表示されるのは今までのような抖音の公式サイト紹介ではなく、WEB版の抖音だ。抖音の公式サイトとクリエイター向けサービスは検索窓右側のメニュー内に設置されている。

このほかトップページのナビゲーションメニューにはライブ配信、知識、二次元、グルメ、スポーツ、ファッション、音楽など10のカテゴリが設置されている。ユーザーは抖音WEB版から横向きの動画コンテンツを視聴できるほか、ログイン後はWEB版から直接動画を投稿できる。

抖音WEB版の動画再生画面は現時点で一時停止、ドラッグで操作する「シークバー」、再生速度の調整、動画再生中にページをスクロールすると再生中の動画を小さい画面で表示する「ミニプレーヤー機能」、音量調節、全画面表示、動画への「いいね」機能、コメント閲覧、動画シェアなどの機能が使用でき、コメントができない以外は他の動画サイトとほぼ同じだ。

抖音はWEB版のリリースによって中・長尺動画コンテンツを増やしていこうとしている。モバイル版の抖音はダウンロード数がすでに限界に近づいているが、中・長尺動画は成長ポテンシャルのある市場であり、現時点で抖音のコンテンツ構成の中でも弱い分野でもある。

横型動画と検索を強化

YouTubeや「ビリビリ動画(bilibili)」など以前からある UGC(ユーザー生成コンテンツ)動画サイトに比べ、リリースされたばかりの抖音WEB版は機能がシンプルで「検索」と「おすすめ」という2つの入り口があるだけだ。しかしアプリ版では最大限の価値を発揮できない中尺動画コンテンツと検索機能に対して抖音WEB版が力を入れていることは明らかだ。

抖音WEB版は検索窓を最も目立つページ上部に置いている。そしておすすめで出てくるのは全て横型の中長尺動画だ。検索の結果から表示される動画も中長尺動画が最上部にくる。「サブスクリプション」「フォロー」「人気ランキング」「近くのユーザー」などのカテゴリはない。

抖音WEB版の検索機能を使うと横型動画が主に表示される

抖音の関連部門責任者は、WEB版は横型で5分を超える動画の視聴により適していると話す。「さまざまなシーンにおけるユーザーの需要を満たせるようにWEB版をリリースした。抖音には幅広い分野のコンテンツがあり、抖音で講義などのコンテンツを発表している学校も多い。これらの動画は横型が主体であり、ほとんどが5分を超えている」

中~長尺動画市場で成長を探る

バイトダンスの張楠CEOは昨年9月に開催された第2回「抖音創作者大会(Douyin Creator Conference)」で「抖音火山版(Huoshan Short Video)」も含む抖音のデイリーアクティブユーザー(DAU)が昨年8月時点で6億人を超えたと発表した。

中国インターネット情報センター(CNNIC)が発表したデータによると、昨年6月時点で中国のインターネット利用者は9億4000万人、モバイル端末からのインターネット利用者は9億3200万人だった。そのうちショート動画ユーザーは8億1800万人と利用者全体の87%に達したという。これはモバイル端末利用者のうち約1.5人に1人が抖音を利用している計算で、抖音の普及率が非常に高いことが分かる。

普及率が高くなるほど今後の成長は困難になる。以前バイトダンスから流出したデータによると、抖音の今年3月の月間アクティブユーザー(MAU)は6億1000~2000万人、利用時間は抖音が約100分、簡易版の抖音極速版が約70~75分だった。昨年と比べてもMAUは微増にとどまっている。

抖音の今年の目標はDAUを6億8000万人にし、ユーザーの利用時間を抖音本体では120分、抖音極速版では90分にすることだ。ユーザー数がすでに中国のインターネット利用者総数に近づいている抖音にとって、DAUを1億人近く増やすのは容易ではない。

また別のあるデータによると、昨年高頻度で中尺動画を視聴したユーザーは6億500万人に上ったという。これはインターネット利用者の64%を占める数字であり、ネット利用者5人に3人が高頻度で中尺動画を視聴していることになる。ショート動画に比べ、中尺動画ユーザーはまだ増加の余地があることがわかる。

WEB版のリリースで中尺動画を強化する抖音が狙い通りユーザー数を増やすことはできるのだろうか。

(翻訳・山口幸子)

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