国民的女優ファン・ビンビン、企業も巻き込む脱税の手口。中国芸能界は戦々恐々
中国の人気女優で、6月ごろから消息不明と報じられていたファン・ビンビン(范冰冰)さんが10月3日、ソーシャルメディア微博(SNS)で声明を発表。国内外のメディアが報じていた脱税疑惑について事実と認め、謝罪文を寄せた。同日、中国国税当局はファンさん本人と関連企業による脱税を指摘し、その額が1億4000万元(約23億円)に上ったと発表。追徴課税や罰金として約8億8300万元(約146億円)の支払いを命じた。

ファン・ビンビンさんが微博に投稿した謝罪文
ファン・ビンビンさんの脱税疑惑は、国営TV局中央電視台(CCTV)の元アナウンサー崔永元氏が5月下旬、インターネット上で暴露したことが発端。所得を過少申告するために「二重契約」を行っていたと指摘している。映画の出演契約を締結する際、実際の出演額を記した契約書とは別に、国税当局へ提出するために出演料を過少に記載した書類を作成していたという。この告発を受けて、中国国税当局は調査を開始したと見られる。
米俳優ブルース・リーさんと共演した中国映画「大爆撃(公開延期)」では、実際の出演料3000万元に対して、当局に申告した出演料は1000万元だったという。これは所得税などを含め総額730万元の脱税に当たる。ファンさんは同様の手口で出演料を過少申告したほか、自身が大株主を務めるなど関与した企業による脱税を含め、脱税総額は1億4000万元にのぼったとされる。
6月ごろから公の場に姿を見せなくなり、SNSの更新も止まったファンさんに関して「当局に拘束されている」などの憶測が広がり、海外のメディアもこれをこぞって取り上げていた。ファンさんは3日の声明文で国税局からの指摘を全面的に認め、全力で支払いに応じる旨と、国家やファンの支持を裏切ったことに対する謝罪の意を表明し、今後は女優業に復帰し作品作りに努めると決意を新たにした。
同日、国税当局は期限内に追徴課税や罰金を納付することを条件に、ファン・ビンビンさんへの刑事責任は追及しないとしている。36Krは彼女の財力をもってすれば、8億8300万元の支払いはそれほど大きな問題ではないと見ている。
ファン・ビンビンさんに端を発する脱税問題は、中国の芸能界全体に波及した。6月には中国共産党中央宣伝部など5部門が共同で、映画やドラマ関連の報酬額や二重契約、脱税に関しての調査や規定を強化すると関連各所に通知したほか、9月にはTVのバラエティ番組なども調査対象となったと報じられている。
ファン・ビンビンさんは1981年生まれの37歳。1997年に大ブームとなったドラマ「還珠姫~プリンセスのつくりかた~」に出演し、全国区の人気を得た。楊貴妃や武則天など歴史上の人物を演じ、中国や香港の大物監督作品には軒並み出演経験のある、まさに国民的女優だ。2013年「アイアンマン3」でハリウッド進出。2014年にも「X-MEN:フューチャー&パスト」に出演している。2007年に個人事務所「范冰冰工作室」を設立したほか、演劇学校の経営に携わるなど実業家としての一面もある。2017年、米誌フォーブスによる中国の長者番付では、年収約3億元と報じられた。同誌による前年の発表では、「世界で最も収入のある女優」で5位につけている。富豪であることを自認する発言もたびたび聞かれていた。
(翻訳・愛玉)