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新興企業の優医視覚(FINE 3D)」は、CG(コンピュータ・グラフィックス)を使った医療映像用のデータベースを構築し、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、3D動画、双方向性を有するプログラムで医学知識を視覚的に伝える事業を手掛ける。同社の技術は科学知識の普及、薬品や医療機器の販売、病院、医学教育などの分野に応用できる。
創業者の盧康平氏は「CGを使った医療映像の市場は急速に伸びている。中国の医薬品と医療機器は模倣から自主イノベーションへの変革期にあり、企業は映像を使った製品の紹介、販促が必要だ。また、販売面でもデジタルマーケティングに移行しており、製品紹介の映像もより高いレベルが求められている。弊社の顧客企業でも半数以上は医療映像の経験がなく、市場には大量の潜在顧客が存在する」と話す。
医療映像は従来広告会社がデザインを手掛けてきたが、意思疎通が難しく、費用も高額だ。3分の3D動画の制作に通常2~3カ月かかり、価格は15~25万元(約260~430万円)にもなる。優医視覚はCGのデータベースを作り、デザインするプロセスを標準化して効率を上げている。盧氏によると、同社はすでに医学に関するナレッジグラフを構築しており、腰椎間板ヘルニア、歯科矯正など500種類の疾病を網羅している。将来的には、アジア・太平洋地域でよく見られる5000種類以上の疾病を網羅する予定だという。CGデータベースの活用で80~90%のコンテンツを標準化し、映像の制作期間は20日にまで短縮した。
優医視覚の強みは主に以下の2点だ。
第一に、盧CEOを始めメンバーには医学博士が在籍し、医療の専門知識がある。また、中国では医療系デザインの人材が少ないなか、優医視覚はデジタル資産とSOP(標準作業手順書)による管理プロセスを確立させており、先発優位性がある。
第二に、最新の3D描画エンジン技術を保有する。共同創業者で製品アーキテクチャーを担当する熊代鑫氏は同分野で5年の経験があり、世界有数のゲームプラットフォーム「Steam」でリリースされたゲームを開発したほか、米ゲーム会社「EpicGames」とゲーム開発の契約を結んでいる。
医学CGデータベースは、民間の医療現場や公立病院の患者への知識提供、社会への医療知識の普及、大学医学部での教育など幅広く利用されている。同社は、成長初期では口腔科、婦人科、整形外科の疾病に焦点を絞る戦略を取った。市場化や競争が進んでいて、ブランディングやサービスの最適化の需要がある分野だからだ。さらにこの3分野に絞ることで、ビジュアルデザインの再利用が可能だった。
優医視覚は技術を実用化し二つの事業を立ち上げている。一つ目は、口腔科の診療所で医師が患者への説明に使用するアプリだ。現在約1000軒の診療所で使用されており、今後1年以内に有料ユーザーを1万軒増やす計画だ。二つ目は、デジタルマーケティングに使用する医療動画で、製薬会社や大学病院、ショート動画アプリ「TikTok」を運営するバイトダンス(字節跳動)など数十の企業や機関が主な顧客だ。優医視覚はデジタルコンテンツおよびツール、アプリのアップグレードも手掛け、顧客のリピート購入を促して顧客獲得や販売のコストを節約している。
現在、優医視覚はプレシリーズAでの資金調達を計画中で、目標調達額は1500万元(約2億6000万円)だ。同社は、2019年12月にエンジェルラウンドで「長嶺資本(Long Hill Capital)」から200万ドル(約2億2000万円)を調達している。
(翻訳・二胡)
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