中国最大のITメディア「36Kr」が160億円ファンド設立。次のユニコーン育成へ
36Krグループ(36氪集団)が発起人となり設立したベンチャーキャピタルファンド(VC)「36Krファンド」の詳細が明らかになった。36Krグループは、IT・ベンチャー関連で中国最大のニュースメディア36Kr(36氪)を運営している。
36Krファンドは、10億元(約160億円)規模のベンチャーキャピタルファンド。スマートマニファクチャリングなど多岐にわたる分野で、設立以来の11カ月で合計25プロジェクトに出資してきた。36Krグループはメディア事業、金融データサービス事業、シェアオフィス事業を展開してきたが、ファンドは新たな主力事業に加わる。
IT、スタートアップ、ベンチャーを総合的に包括するエコシステムとサービス体系の構築を目指す36Krグループは、ファンドを中国最大の「起業の窓口」に育てる考え。
36Krグループの3つの柱
「ファンド設立は必然の流れだった」と語るのは、36Kr創業者の劉成城氏だ。2010年10月の創業以来、ニュースメディア「36Kr」は3万社にのぼるスタートアップを紹介してきた。うち9割は36Krが初めて取り上げた企業だ。ニュースアグリゲーター今日頭条(Toutiao)、Q&Aサイト知乎(Zhihu)、ライドシェア滴滴出行(Didi Chuxing)、シェアサイクルofoなど、現在業界の注目を一身に浴びる企業を数多く紹介してきた。8年間のメディア運営を通じ、各分野のアナリストともネットワークを築いている。
さらに、「中国版ブルームバーグ」を目指して運営する金融データサービス「鯨准(JINGDATA)」も傘下に抱える。4万以上にのぼる国内外の投資機関、60万件以上にのぼるプロジェクトのデータを蓄積し、ファンドの運営をバックアップする。
また、全国で3万6000人分のワークスペースを提供するシェアオフィス「氪空間」も展開している。現在、中小企業を中心に2000社以上が入居し、1月にはプレBラウンドで6億元を調達した。
ニュータイプのベンチャーファンド
中国のVCは乱立を経て淘汰段階に入っている。この10年、中国では10億ドル規模のベンチャー企業が150社以上、100億ドル規模のベンチャー企業が15社以上誕生した。ベンチャー市場の隆盛に伴いプライベート・エクイティ(PE)市場の拡張も目覚ましく、10年前の100倍の規模に成長している。少なくとも2万5000のファンドが8兆5000億元の運用資金を抱えているといわれており、スタートアップにとっては売り手市場となっている。
「単に出資するだけでは、これからのベンチャーキャピタルは生き残れない」。36Krファンドの創設パートナー趙甜氏はそう語る。36Krは資金だけでなく、グループ傘下の各事業部門のデータやオフィススペースなどの資源を提供することで、各ベンチャー企業を手厚く支援する。
これまで数多くの企業プロジェクトを取材し、多角的な分析を行ってきたことから、業界動向の分析やプロジェクト評価にも強みを持つ。マネジャーやパートナー個人の経験則に頼る従来の投資機関とは一線を画する戦略を提案できるだろう。さらに、全国の主要都市を網羅するシェアオフィスを提供することで、各地での迅速な市場開拓もサポートする。
36Krファンドは新消費、スマートマニファクチャリング、企業サービスなどの分野を中心に、主にA~Bラウンドの資金プロジェクトを手がけていく。
ニュースメディアからファンドへ
36Krのようにニュースメディアからファンドに事業拡大した企業は、先例が多い。ブルームバーグが機械知能(MI)関連企業に特化して設立したBloomberg Betaや、国内では大手新聞社の上海報業集団が設立したマザーファンドなどが一例だ。
(翻訳・愛玉)