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火鍋チェーンの「海底撈」は質の高いサービスで若者に受け入れられた。標準化されたメニューと複製可能な店舗によって火鍋は全国へ急拡大。しかし、感染症の流行後は会食する機会が減り、海底撈もその影響を受ける中、別の火鍋ビジネスがひっそりと生まれた。
火鍋の具材を販売する「鍋圏(Guoquan)」はこのほど、シリーズD+で資金を調達し、小売大手「物美(WUMART)」と高級白酒「茅台(Maotai)」の関連会社も新たに株主となった。あるメディアは鍋圏の評価額を20億ドル(約2200億円)と試算。2019年に初めて資金調達を行った同社はわずか2年間で6回にわたり総額30億元(約510億円)近くを調達している。
火鍋の新しいストーリー
以前は家で火鍋を食べるのが大変だったが、今や火鍋に必要なモノは全て鍋圏で揃えられる。具材や調味料から鍋まで、まるで火鍋の「ドラッグストア」のようだ。値段もそれほど高くなく、20cmの鍋は36元(約610円)で、200gの牛肉は20元(約340円)とスーパーの肉より2割ほど安い。店内に並ぶ商品の90%以上はODM(開発・製造受託)工場で作られ、その数は500種類を超える。
店舗は地域コミュニティ(社区)がある所に開設する。同社のフランチャイズ係によると、「1キロメートル圏内に1店を開設し、3〜4つの地域コミュニティをカバーする方針」という。店舗面積は約70平方メートルで、少なくともレジと商品管理の担当スタッフ2名を置く。野菜は地元の生鮮市場から毎日仕入れ、店舗で加工およびパック詰めされる。野菜以外の商品はすべて本社から週2回ほどのペースで送られ、店舗で肉のカットや包装が行われる。
鍋圏は火鍋に特化しているため、同じく地域コミュニティをターゲットとする「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」や「毎日優鮮(Missfresh)」、「銭大媽(Qdama)」といった生鮮食品ECに比べ在庫管理がしやすい。冷凍食品が中心で、賞味期限の短い商品も少ない。つまり、生鮮食品ほど減耗率が高くない上、地域コミュニティで事業を展開し、消費者に近い存在であることに投資家は注目している。
海底撈よりハイペース
鍋圏は昨年、1日平均9店となる約3300店を新たに出店した。一方、海底撈が昨年末までに開設した店舗は累計1298店にとどまる。
また、上海や成都など4カ所に食材研究開発センターを設立し、500社以上のサプライヤーと提携、17カ所のメイン倉庫、30カ所以上のサブ倉庫、1000カ所以上の前置倉庫を設けた。具材を販売しているため、火鍋チェーンとは異なり初期投資がそれほどかからず、効率的に事業を展開できる。
分かりやすく言うと、同社が行っているのはサプライチェーンの統合だ。この手法はファストファッション業界ですでに実証されている。今年5月にアマゾンに代わって米国で最もインストールされているアプリとなった中国発ファストファッション「SHEIN」も同じスタイルをとる。海底撈も、当初は強力なサプライチェーンを生かして業務を標準化した。
中国餐飲行業協会によると、火鍋具材販売店は2018年の1000店から、2020年には5万店近くに増えた。海底撈も昨年10月、面積が約150平方メートルの火鍋具材スーパー「海底撈火鍋食材超市」を初めてオープンした。
火鍋のような垂直統合型の分野から地域コミュニティ向け事業に参入するのは良いやり方だが、まだ大きな利益は得られていない。ある業界関係者は、「モデルだけなら簡単に真似できる。ブランドを確立し、サプライチェーン統合を通じて値段を下げた企業が頭角を現すだろう」と語った。
作者:電商在線(WeChat ID:dianshangmj)、王亜琪 編集:斯問
(翻訳・神戸三四郎)
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